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コンコンコン、とノックを3回。
寮とは違い、校舎はところどころ破壊されていた。
「…誰だ」
静かな、冷たい声。
「…零です、真白零」
「…入りなさい」
少し間があって、そう言われ、ドアを開けた。
理事長と書かれたネームプレートの立ててある机に座り、多くの資料に囲まれたまま、理事長はこちらに目をやった。
「理事長…僕…」
「貴方の力なら、この学校を直せますね?」
問いとは思えない圧力を感じる言葉に、のしかかられるように頷いた。
「夜のうちに直しなさい、すべて」
…これが、僕の存在意義
「はい…理事長」
自室に戻ると、中では煌が尻尾をフリフリしながら待っていた。
「零、どうだった?」
食いつくように話しかけてきた煌から、少し目をそらす。
「うん…夜のうちに全部修復しなきゃ」
「全部…出来るのか?」
「出来ないことはないと思う、よ」
「…そんなことしたら!零が倒れちゃうじゃない!!」
煌の隣からぬっと顔を出して、まりもが講義するように眉を釣り上げた。
「大丈夫、なんとかなるよ」
「何とかって…」
まりもとは反対に、煌は心配そうに眉を下げた。
「何かあったらどうするんだ?」
「どうもしないよ、だって、そのための僕だもの」
ね?と目で尋ねると、煌は何か言いたげな顔のまま黙った。
「とにかく、夜…今夜だから。外は見ちゃダメだよ」
「なぁ、心配だから俺も一緒に…」
「だめ」
首を振ると、出来る最大の笑顔を顔に貼り付けた。
「僕なら大丈夫」
しぃ…んと静まり返る校庭。
数日前にここで大変な事件が起こったとは思えないほどだ。
しかし、破壊された校舎やえぐれた校庭が事件がそこであったことを物語っていた。
…僕に動物化はできない。
僕に出来るのは…神化。
上着を脱ぎ捨て、肩の怪の字に指を当てる。
「…融合せよ」
小さくつぶやくと、怪の文字が淡く輝き、肩から文字が消えた。
同時に、額の色の文字が神という文字へと変化する。
「…ひと仕事しないとね」
ぐっと足に力を込めて地面を蹴ると、大きな白い翼が広がる。
上空から、校舎を見下ろして、そっと手を伸ばした…。
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