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僕が右手で握るような動作をすると、闇が伸びてその男達を1人ずつ握るように拘束し、僕の前に一列に並べた。
声にならない悲鳴が聞こえる。
「ねえ…煌になにしたの」
ぎゅううっと強く握れば、男達は締め上げられ、苦しそうな声を漏らし始める。
「生きて帰れるなんて、思ってないよね…?」
すっと手をスライドさせると、まるで刃物でも通ったように男達の身体が切り裂かれ、血が吹き出した。
「ぎゃぁぁぁぁ!」
「い、痛えよおおお」
「く…っあははははっ」
そう、もっと苦しめばいい。
もっともっと…
ぱちんっと指を鳴らせば、吊るされた男達の足元に火がついた。
めらめらとズボンに燃え移る。
「あ、あぁぁぁぁぁ!」
叫び声をあげる男達を眺め、ぼくはそのうちの1人にそっと近づいた。
「ねえ、助かりたい?」
こくこくと人形のように頷く男を見つめる。
「ざーんねーん?助かるなんて幻想…捨てろ」
ぴしゃぁっと雷がその男に当たり、その男は気絶した。
「なぁに、もう終わりなの?」
他の男達に目をやると、まだ火と格闘している。
「ねえ、お水かけてあげようか」
そう言うと、指を鳴らす。
火が消え、今度は足元から水が湧き出す。
水は触手のように男達に絡みつき…鼻と口を塞いだ。
苦しそうにもがいている。
ぱちんっと指を鳴らし、そこに雷を落とす。
黒焦げになりながら、男達は涙を流して懇願し始めた。
何でもするから命だけは、と。
僕はそのうちのリーダーに近づき、その顎に手を添えた。
「ねぇ、答えてくれる?どうして悪魔の印を探しにきたの?」
あ、あ、とどもるそのリーダーにもう一本切れ目を入れる。
「早く答えて」
「…あ、あの、悪魔の印さえいれば無敵で…どんな悪事も働けるし敵無しで裕福な暮らしができる、から…っ」
「…そう」
僕を利用したかったんだね…
「僕はなんだっていいよ…でも…煌を傷付けた罪…その命で償ってもらう」
再び指を鳴らすと、大量の蠍が男たちの頭上に降り注いだ。
どれも強力な毒を持ったものばかりだ。
「折角だもん…いっぱい苦しめなきゃ、もったいないでしょ?」
「あぁ、あぁぁぁあああ!」
「お前が…っお前が悪いんだ?お前が…悪魔の印なんかの分際で生きているからそいつは…っお前のせいで傷付いたんだろうがぁっ!自分の罪だ、そうだろ…?」
一番端にいた男が声を張り上げた。
その瞬間、その男の首から血が噴き出す。
「…確かに、僕が生きていなければ良かったかもしれない。でも、お前達が狙ってきたのは僕じゃない…偽物の悪魔の印に踊らされてただけのピエロに僕を責める資格は…ない」
ぎゅうっと手を握りこめば、あちこちから骨が折れる音が聞こえた。
「ふふ…ほら、そろそろ終わらせてあげよう…」
ぱちんっと指を鳴らすと、男達のお腹に遠隔操作型の爆弾が現れる。
「もう一度僕が指をならせばお陀仏だ…。初めに死にたいのは誰だ?」
脅すように右手を掲げると、男達は目に見えて虚勢した。
「全員いっぺんに殺してやろう…」
指を鳴らそうと手を動かし…
…音を鳴らすことができなかった。
右手にふわりと暖かい感触。
背中が暖かい…
煌が、背中から僕に抱きついていた。
右手で僕の手をそっと握りしめた。
「零…そこまで」
「煌…怪我、は…」
「大丈夫大丈夫。俺だって、狼の端くれさ」
撫でられて、そっと抱きしめられた。
「…よかった…よかったぁ…」
ぎゅうっと煌の背中を掻き抱く。
もう、戦闘意欲は無くなっていた。
煌さえ無事なら、それで…
すっ…と心が軽くなり、髪も瞳も戻り、周りの闇も消え…
安心したせいか、僕は煌の腕の中で気を失ってしまった。
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