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あいつも最低なやつだけど俺もたいがい最低だなって思う。
今日は卒業式。
俺は卒業式には出席せず、智樹と学部の担任にだけ話をして、新しい住居へと移り住んだ。
合鍵を使うのは久々だった。
一度、ここで浮気に遭遇して以来、使うことはなかった。
今日はその合鍵を使って伊吹の部屋にきた。
智樹からは伊吹がハーレム状態だと連絡がきていたから家にいないことはわかっていた。
部屋に入り、ぐるりと見渡す。
何度来ても慣れることはなかったな…。
この部屋にもあの行為にも…。
部屋の中央にあるテーブルに一枚の手紙を置いた。
さようなら…。
今までありがとう。
そっと部屋を出て鍵は玄関ポストの中へ入れた。
これでもうおしまい。
伝わってないかもしれないけどすっごく好きだったんだからな。
一緒にいるときはとにかく甘かった。
それがかなりくすぐったくてどうしていいかわからなかった。
初めて伊吹が他の人とキスしながらラブホ街に行ったときはなにも考えられなかった。
どうして?って何度も思って何度も問い詰めようとした。
でも重いやつだと思われるのが嫌だった。
側にいたかったんだ。
一人一人に優しくて甘い。
ほんとうに残酷な優しさだったな。
ばいばい。
こうして俺は伊吹の前から存在を消した。
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