アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ウサギとカメ
-
むかし昔 あるところに、ウサギ族と亀族がありました。
長年対立していた両族でしたが、とうとう亀族が負けてしまい、ウサギ族と和解することになりました。
ウサギ族が出した条件は、亀族の中で最も美しい者を、ウサギ族の長の息子と結婚させる、でした。
亀族は悩んだあげく、亀族の長の娘を結婚させようとしましたが、それに反対する者が現れました。それは・・・・・。
「ダメだ!オレの妹は嫌がってる!絶対嫁にはやらんからな!」
娘の兄、亀太郎(かめたろう)でした。
亀太郎は亀族の中でも不器用でどんくさいことで有名でしたが、その愛くるしい顔と、無償の気遣いのおかげで亀太郎は亀族の中で人気でした。
そしてなにより、亀太郎はいずれ亀族の長となる、いわゆる王子なので、民族意識も高い男でした。
「そもそも、なんで妹なんだよ!妹には好きな奴がいるんだぞ!」
憤りを長にぶつけると、長は片手をかざして亀太郎の怒声を止めた。
「落ち着きなさい、亀太郎。我が娘は亀族の中でも一番の美貌を持っている。
さらに言えば、娘を差し出すことでウサギ族の身内となれるのだ」
長の言う正論に亀太郎は怯んだが、しどろもどろになりながらも答えた。
「お、オレはっ、妹に幸せになって欲しいんだよ・・・。
妹を、政治の道具になんかさせないっ」
「亀太郎よ、もっと大人になれ。お前がいつまでもそんなんだから、私は引退できんのだ」
「そんな長の座なんて、オレはいらないっ!」
亀太郎は長を睨みつけると、鼻をならして長の部屋を後にした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 33