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無気力な彼らのお祝い
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当日 6月21日
「ちわー!」
「こんにちわ」
「ちわ…」
赤葦と研磨が宮城へ向かい、その駅で日向が待ち合わせていた。3人揃い、いよいよ悪夢の始まりかと研磨が鼓動をどきどきさせながら待っていると、赤葦が先に動いた。
目が、本気である。
――ここで犯す気!?AVの見すぎじゃッ…
そんなふうに思った矢先に、目を丸くする出来事が起こった。
赤葦が、日向を思いっきり抱き締めたのである。本当に締めた、という表現が合っており、日向が泡を噴きかけている。
「しょーよ…」
「これが俺からの誕生日プレゼント」
日向の耳で囁いた赤葦は、落ち着いた表情をしていた。昨日の欲情しきった顔ではなく、スラッとした普段通りの顔に。
――あれ…?
心中でそう思い、ちらりと日向の顔を見る。
まんざらでもないようだった。少し赤面しているが、見事に赤葦の服に顔をうずめている。
そんな日向を可愛いと思ってしまった自分がいたが、首を横に振り、研磨も日向に抱きつく。2人に抱きつかれた日向は躊躇っていた。だが、それもすぐに消え、笑顔で2人の背中に手を回す。
「苦しいよ~!」
口ではそう言っても、笑顔が絶えない。そんな表情を見て、研磨の心の奥に響くものがあった。
――…やっぱり、……可哀想だよね…。
言いかけたが、喉元まで這い上がってきた声を沈める。
これでいいのだ。無理にしようとしなくていい。
そう思っていた、研磨なのであった。
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