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#16
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俺は、昨日優に迫られていたとき勝手に逃げてきてしまったことに、昨日から半端ない罪悪感を感じていた。
…うわ…。俺ほんと、最低だぁ…。
優に何て言って謝ろう…。昨日みたいな優だったら、きっと許してもらえないんだろうなー…。変なこと言われそうだし…。
いや、もとはといえば俺が逃げたのが悪いんだけどさ。
朝、机に伏せながら優に何て謝ろうかと考えていると、俺の前の席の滝澤明良(たきざわ あきら)が登校してきた。
明良は中学からずっと仲良しで、中2のときから1度もクラスが離れたことはない。性格も明るくてクラスでいうムードメーカ的な存在でもある。仲良しの俺は、明良からはタケと呼ばれている。
「よ、タケ。寝不足か?」
「明良。はよ。…いや、別に。」
「そのわりにはダルそうじゃん。…あ、わかった!今日の家庭科が調理実習だから落ち込んでるんだ!」
明良がひらめいた!と言わんばかりの顔で言ってきた。
「違うわ。…て、え!?今日って調理実習なんてあったっけ!?」
思わず大声をあげてしまった。
「調理実習、すっかり忘れてた…!」
「おいおい。1、2時限は調理実習だぞ?俺らもそろっと行こうぜ。」
明良に言われて思い出した。
今日は調理実習があって、ホームルームの時間から準備に入るんだ。
優が来たらすぐに謝ろうと思っていたのに、もう移動して準備しなくてはいけない。
…あーあ。朝のうちに言っておきたかったのになぁ。
時間が経つと気まずくなるし…。
しょうがないかと肩を落としながら、明良と一緒に調理室に向かった。
「明良ー。砂糖とって。」
「はいよ。…あれ、タケ。マヨネーズどこ?」
「え?前のとこにない?」
「おー、あったあった。」
調理実習の班分けは、基本的にクジ。一緒になる確率は9分の1の確率なのに、俺と明良は同じ班になった。
……すげぇよな、この運。いや、嫌じゃないからいいんだけどさ…。
今回の調理実習では、オムレツとキャベツの千切りをすることになった。オムレツの半熟さとキャベツの千切りの細かさで評価されるのだが、俺は割りと料理が出来る人間で、上手く作れる自信がある。まぁ、自分でいうのもあれだけど。
元々、両親が夜遅くまで共働きでいないため、中学の頃から料理はやっていた。そのおかげで、ある程度の料理は自分で作れるようになった。
それに比べ、明良はというと。
「おぅわ!?卵の殻入っちゃった…!…ま、いいか。取るの大変だし。」
不器用というか何というか。見ていて危なっかしい。
「作ったオムレツは自分で食べるんだぞ?」
「んー…。大丈夫、大丈夫!」
明良もやるときはちゃんとやるんだけどな…。
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