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不言色の章19
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生きろと言ってくれた。
会ったばかりの自分に生きろと。
しかも、蟻に占領されて危うく雨宮を殺しかけたというのに。
雨宮の言葉通り四十九院は生きている。
今までこの手で何一つ自由にならなかった人生を取り戻しつつある。
「…………ッ!」
……ふと、何かを感じた。
心臓が煩く乱れ打って四十九院は上着の胸元を鷲掴んだ。
実際には身体の何処も痛んではいなかった。
けれど。
身体がガタガタ震えて悪寒が止まらない。
顔面を蒼白にして四十九院は目を硬く閉じた。
なんだろう、これは。
そうして漸く答えに辿り着く。
………悪い予感、それもとても強いものだ。
「雨宮……!!」
何処というのではなくその場で虚空を見つめるように四十九院は空を見上げた。
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