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銅色の章2
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「さてと」
カイリは黒地にピンク色のロゴの入ったお気に入りのブランドバッグを持ち上げ腕にかけると出掛ける用意を終えて玄関に向かった。
玄関にはアンティーク調の姿見があり、鏡に映る自分をチェックする。どこから見ても清楚で可愛く仕上がっている。
紺のワンピースは知的だしレースは控えめだ。毛先だけふんわりさせて女の子らしさをアピールしているが基本サラサラの髪は敢えて染めたりしない。
アクセサリーもなるべく付けず、ポイントを絞る。
甘くなり過ぎない様に気をつけているのだ。
大人も子供も清楚な格好の若い女を何故か信用しやすいとカイリは経験上知っていた。
鏡の中の自分に柔らかく微笑んでみせながら、授業参観日に向かうの親の気分、とカイリは思った。不備が無いのが分かると玄関のドアに鍵をかけてガレージに向かった。
今日は大事な日だ。
白い軽に乗り込んでエンジンを掛けると直ぐに走り出した。
暫く走り隣町の郊外へとやって来ると、寂しげな神社のある森の中の一本道へと辿り着く。
カイリは車に乗ったまま鳥居をくぐると神社の敷地内に乗り入れ、膝丈程にまばらに伸びている雑草を踏み倒しながら進み、通りから見えない木立の影に車を停めた。
人が来る心配は無い。
ここはほぼ廃神社と言っていい。
最近では神主不足でこういった小さな社殿は兼任される事が多く、その神主すら見つからない場合はゆっくり朽ちて行くしかない。
この神社を唯一世話していた老婆は先日入院した。
5段ある社殿の階段の1番上背後から悪意ある誰かに背中を押されて転落し足を骨折したのだ。
勿論カイリの仕業だった。
感情的で大胆な行動をとる反面、冷酷で計画的な顔も持っている。
巣作りは終わった。
あと必要なのは雛。
それからカイリとつがいになる父親だった。
カイリはお気に入りのピンクのベルトの金の腕時計を見た。
3時。
車を出て神社を後にした。
この神社の前の通りは、カイリが保護しようとしている雛が通る道と丁字路の形で繋がっている。
この神社がある横道へは誰も来ない。農家をやっている一軒とあの老婆がこの道沿いに住んでいるが、農家は商店街などのある街に近い反対側へ抜ける道を使うだけだし、老婆も適切に処理したから誰にも見られる心配が無い。
雛の通る道の行く先はボケた老人共を収容する施設と、 親がいないかダメな親を持った子供が集団生活する古めかしい福祉施設があるだけだ。丁字路の10メートル程手前で雛を少し待ち、
彼が現れ少し過ぎ去った所で背後からカイリは声をかけた。
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