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反射的にぐっと歯を食いしばっても、思った様な痛みが走ることはなく、強く閉じた目を開けてみれば、余りにも近すぎる位置に東雲の顔がある。
「っ、ちょ...っ」
焦った俺は、この状況をどうにかしようと身じろぎ、そこで初めて背中から腰にかけてあてられた手に気がついた。
...東雲が俺を支えてくれたのか。
お礼を言おうか迷ったが、だいたい倒れたのは東雲のせいだ。
それに、今の俺たちの格好といえば、支えられているというより襲われる寸前のソレ。
どう考えたってこのままじゃ俺の身が危ない。
とりあえずこの状態から脱せねばならないと、あからさまに東雲から顔を背け声を張り上げる。
「ふざけてないで離せよっ」
「ふざけてないよ」
「ふっ、ふざけろよ!こんなの..っ、ガチでやるようなことじゃねぇだろ」
言葉による攻防を繰り広げている間も、東雲はどんどん体を俺に近づけてきていた。
...今、東雲の方を向けば絶対危ない。
だって異常に顔が近いから。
なるべく奴の顔を見ないようにしながら、必死で説得しようと試みる。が、
「俺は本気だよ」
「...っ..」
どうやら、今さらそんなの通用しないらしい。
だからってこんなの普通じゃない。
もし、こんな所を誰かに見られたら..。
そこまで考えて、ここが体育館倉庫裏だった事を思い出す。
(むしろ、誰か来てくれ..!!!)
「しの、のめ..っ、まじで離せよ...っ」
「奏太って呼んでくれないの?」
この際、唐突な訳のわからない要求だって飲んでやる。
とにかく今はこの状況から逃げ出す事が先決だ。
「よ、呼ぶから離せ!」
「嫌だ」
しれっと言ってくれた東雲。
「.....」
な、なんだコイツ。
随分非協力的な態度にだんだんイライラしてきた俺は、むっと唇を噤んだ。
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