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沈んだ声
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「はぁ、しょーがないなー。僕が言う通りにいってね。
春様、本当にもうしわけ・・・ごめんなさいの方がいいね。
春様、本当にごめんなさい。
これを春が良いって言うまで繰り返して、ほら始め」
「春様、本当にごめんなさい
春様、本当にごめんなさい
春様、本当にごめ」「あ、も、もういいですよ、そんなに怒ってないですし」
突如慌てたように止めに入った春の発言に、一体何百回言わされるんだろうと思っていた俺は少し拍子抜けした。
「えー、もういいのー?春優しすぎるよー」
顔を上げると、樹が春に抱き着いて耳元でそう言っていた。
「いーいーの。樹が僕の為にもう怒ってくれたんでしょ?」
「んーまぁそれはそうだけどさー」
「ね、だから良いの。あ、あのイチはご飯食べないんですか?」
「あ?俺はいらね・・・いりません」
樹に睨まれ言葉を言い直す。
「で、でもやっぱり何か食べないと」
「もー春ってばイチの事甘やかしすぎだって。要らないって言ってるんだから良いんじゃないの?」
「んー、でもほらやっぱり初めての場所とかで緊張してるのかもしれないし」
「はぁ、しょーがないなー。三番、イチの分の食事ここに持ってきて」
「かしこまりました」
「いや、だから、俺はいりません」
飯なんか食えるかこんな状況で。
「ねぇイチ。春が折角言ってくれてるのにわがまま言うつもり?」
樹が俺の左手を包帯の上から撫でる。
「あ、いや・・・頂き、ます」
俺は渋々了承の返答を返した。
だが樹の手はなおも俺の腕をそろそろと撫でる。
「大体さっきからさぁ、春が優しいからって春に対してだけ態度悪いよね」
「いや、別にそんなつもりは、無く、あ、無いです、けど」
「そーかなー」
冷や汗が止まらない。
身体が痛みを思い出し、全身に力が入り、息が詰まる。
「樹、その辺にしときなよ。僕なら気にしてないから」
春が樹を止める・・・が、その声は若干沈んでいた。
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