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相談相手。
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「…お前それは勘違いだぞ」
顔を上げると、真面目な顔で、落ち着いた口調でいう立川さんと目があった。
「….は、なんで。」
「、アキに何言われたかわからねえが、それだけでそこまで傷つく奴のどこが非人間的っていうんだ、逆だろ逆。、人間的過ぎるんだろ、お前の場合」
立川さんはそういうと俺を馬鹿にしたように笑った。
「……、人間すぎ……」
「どう考えたってそうだろ? お前は昔からそうだ。
はっきりとは口にしないけど、何かあるとすぐそれが写真に出る。お前は"カメラを通して人と会話する"っていつも言ってるけど、本当にそうで、お前の写真見るとすぐわかるんだよ、あぁ、傷ついてんだなって。」
立川さんはそういうと「こんだけ感情が分かりやすい人間のどこが非人間的っていうんだよ」と大笑いした。
「………、それは愛がなくても、?」
そんな立川さんをよそに俺は静かにそう呟いた。
そんな俺に立川さんは笑うのをやめて、眉をひそめる。
「……?」
「…、俺、自分から人に対して、本気で好きなったことない、というか多分これからも一生無理ッス」
俺がそういって今度はソファに深く腰かけるとまた立川さんが俺を馬鹿にするように笑いだした。
「…っははっ…!!!…っなに?、お前それで非人間的って言ってたの?!……っははっ…ほんと餓鬼だなぁ……っ!!!」
「…………」
あまりにも立川さんが大袈裟にずっと笑うから、なんかイライラして立川さんを睨む。
「…、ったく睨むなよ、……。……あぁ、あぁ、。昔から見た目だけは大人びてたけど、精神は本当に成長してねえな、、、そんなんだから、人に興味持てねえんじゃないの?」
「……どんなに餓鬼でも、人に興味持つことくらいできるでしょ……」
「お前は、そうやって決めつけすぎ。人間は必ずどんな感情を持ってなきゃいけないなんてねぇだろ。人を好きになれないって、それはもうお前の魅力の一つだろ?」
そうサラッと言いのける立川さん。
「…はぁ……魅力…?」
「、それに!誰が"一生"無理なんていった、?未来から来たわけでもねぇのに、無理なんて言うな。」
「……でも、」
「でも、じゃねえよ。お前はまだそういう人間に出会ってねぇだけだろ?出会えたら興味を持つ、それで好きになる。出会えなかったら、好きにならない。世界中みんなそうやって奇跡的に恋愛してんの。そんなホイホイ簡単に恋愛できるなんて甘い。」
立川さんはまるで恋愛の達人のようにそういった。
「…………さすが、56歳、3回離婚してるだけありますね。」
少し間を置いて、感心するようにそういったのに、立川さんは顔を鬼のように凄めて「埋めるぞ」と俺を脅した。
「……いやいや、すげえなと思って」
「完璧馬鹿にしただろ、まぁ、お前になに言われたって気にもしねえけど、」
そういってニヤッと笑う顔はいつも通りの立川さんで、あぁ、なんかやっぱり心地よいと思ってしまう。
なんていうんだろう、昔から一緒にいるからもはや家族みたいな心地よさだ。
「……あ〜〜あ〜〜……、立川さんみたいな大人の女いねえかな〜〜」
「うわ、気持ち悪」
「……、んな簡単にいねえよなぁ……なんてったって立川さん、56だし。人生経験ちげえよな……」
「熟女なら紹介するぞ」
「…あぁ、……もう本当に一回くらいあってみようかな、〜〜、、セックスさえできたら、付き合えるわ」
「…どうせまた好きになれんのに、そうやって高年齢層を喰い散らかすのはやめろ、!」
「……だって〜」
「…ったく、なんでそうやってお前はヤること中心に考えるんだ!人を好きになることは、身体を重ねることじゃないんだぞ」
立川さんが大きな溜息をつきながらそういう。
確かにそうか、つきあう=セックスみたいな考えになってるかもしれない。
……でも、それに理由がないわけでもない。
「…だって、セックスって楽じゃないですか、。無駄に喋らなくていいし、喋らなければ相手のことも自分のことも無責任に傷つけないで済む。」
「…………。」
「…むしろ、もう俺はヤるだけでいいや。んで子供作ってその子供と分かり合えればいい。」
極論を言ってしまえばいつもこうだ。
付き合うのがめんどくさい、。
もう結婚とかどうでもいい。
「…ははっ、お前好きな奴はできねえって決めつけてんのに、子供は欲しいんだ、?」
「…うん。だって無条件に自分の子供なら好きになれるでしょ?興味持てるでしょ?…たぶん」
俺が端的にそういうと、それを聞いた立川さんが「この、我儘」とまた鼻で笑ってきた。
自分でも分かっている。すごいワガママで餓鬼くさいことを言っていることくらい。
…でも、そうじゃなきゃ怖いんだ。
人と分かり合うのがめんどくさい。
分かりあえたら好きになって、分かりあえなかったら嫌いになって、傷つけあって、。
そういうんがこわい、
でも、自分の理解者は欲しい。
それが他人と分かり合うことでできるものであるのなら要らないから、もういっそ自分の子供でいい。
そういう単純でワガママで子供的な発想をしてしまう。
でもそれくらい他人と分かり合うことが苦手だ。
そして、その大元になる"言葉"というものも。
「……多分お前はその"言葉"に対する恐怖を克服しなきゃ理解者は作れねえよ、。……だって何をするにも言葉が必要だもん。カメラだけじゃ完璧な意思疎通は無理。カメラはちょっと一方的な部分あるから。」
立川さんはそういって湯飲みの中のワインをグイッと飲み干した。
「……わかってますけど〜…」
俺はまたそういって、机に項垂れる。
…………この件はもう迷宮入りだな……
というか、多分俺の人生の命題だ。
"言葉"は不可避。
解決法は一切思いつかないけど、
それをヒシヒシと痛感させられた時間だった。
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