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薄暗い資料室
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「……、、ぁあ、…えっと、……ミヤ、?くん…?だよな、?」
その事に内心頭がついて行っていなかったが、とりあえずその俯いている方とは知り合いだ。
(…知り合いって程でもねえけど……)
俺はその状況にも関わらず、自分でも感心するほど能天気な声でそう聞いた。
すると、バッッッ!!!と、都が俺の方を見てものすごい驚いた顔をする。
「……え、…お前……」
昨日、睨まれたぶりにみたその顔は、まるで何かをもの凄い恐れているような顔で強張り、とにかく普通じゃなかった。
顔からは、冷や汗のようなものが浮き出て、それによく見れば身体をカタカタと震わせていた。
全く状況はつかめてはいないけど、彼が何らかの事について、少なくとも俺に向けてのものではない恐怖を感じている事は明らかだった。
すると、
ガシっっ、
「….ねぇ、アンタだれ?ミヤの知り合い?」
そう完璧に俺を敵視した様な声音で隣の金髪男がそう言ってきた。
それと同時にそいつは、繋いでいた手を離し、都の肩に容赦なくその手を回す。
その瞬間に都がビクっっと体を震わせたのを、俺は見逃さなかった。
「……あぁ、…。」
……ちょっと待て…、こいつの反応、どう考えたっておかしいよな、…
俺は今の状況を理解する事に頭が必死で、そう適当に返事をする。
…明らかにこいつ、…今嫌がったよな…、?
よくよく考えれば、男二人で、こんな人気のない資料室に来るか……?……それも手を繋いで……。
どう考えたっておかしい、…
「、ミヤ?この人の事知ってる?、誰?」
金髪の男は、都の肩を抱きながらそう聞く。
よく見るとこいつもなかなか整った顔をしていて、はたから見れば、騒がれそうなイケメン二人組だ。
そんな金髪の問いに、都は肯定するでもなく否定するでもなく、またフイッと顔を俯けた。
、え、…おいおい、さっき絶対俺だって気づいただろ…!!!!
そんな都のまた明らかに俺を無視するかの様な反応に今回ばかりは少しカチンときた。
昨日から憂鬱だったとか、昨日の夜酒飲み過ぎたとか、そういうのも全部絡んでたのかもしれないけど、そのときの俺はとにかくそれにイラっとした。
「……なぁんだ、知り合いじゃないじゃん。
、なに、お兄さん、都のファンだったりするの?」
ニヤニヤしながらそう言ってくる金髪男に、俺は眉間にしわを寄せながら否定するしかことしかできない。
すると
「んじゃ、ミヤ行こっか。」
「……っっ!!」
金髪男はそういうと、また力強く都の肩を抱き直して足を進めた。
その行為に都はまた身体を震わせながらも、拙い足取りでよたよたとついていく。
でも、
「….っおい、…お前ら今からそこ行くのか?」
彼らの向う所は、俺が今さっき出てきたあの"第三資料室"で
俺のその問いに金髪は「そっすよ〜。ここに借りたい資料があるもんで」なんてことをいってニコッと笑った。
…あんな埃まみれの資料を借りる……?
…幾ら何でもそれって…考えられないよな、…?
確かに専門学的なことでここにしか資料がないなんて場合もあるかもしんねぇ が…
あんな何十年も使われてない様な所の本を読むなんて、可能性は多分すげえ低い。
つうか、それ以前に、…
俺は都に目を向ける。
抱かれた肩は、小さく縮こまらせ、隣の男が喋る度に、ビクビクと身体を揺らす。
…普通、友達とか…もしかしたら恋人とかでもしたら、絶対こんな震えたりしねぇよな…、?
…いじめ……?
……それともレイプ…?
……いやいや、男同士で、…しかもこの天下の帝都大で、そんな………、
ははは、っと馬鹿げたことを考えた自分に頭の中にで苦笑いをする。、が、
……どう考えたっておかしいこの状況で、とにかく今、都は危ないのかもしれないという事だけがひしひしと直感的にわかる。
、でも、今の都にとって、俺は知り合いでもなんでもない人間で。
さっきのあの、相変わらず俺の存在を全て無視するような態度を思い出すと、心なしかまたイラっとした。
、もし、本当に嫌がってたら、泣いてすがってでも誰かに助け呼ぶよな?
つうか、この状況で俺のことを無視するってことは、口挟むなって事だよな、??
よくよく考えればそうだ、俺はこいつとは赤の他人。
助ける義理も、貸しもそもそも存在しねえじゃねえか。
俺はそう助けない自分に助言をして、肯定する。
「、じゃあ、失礼しますね〜」
そんな呑気な口調でそういう金髪男に赤の他人の俺はなにも言う事ができなかった。
ガララララーーー……、!
ピシャリっっ…!と勢いよく閉じられたその扉の前に俺は呆然と立ちつくす。
いや、……よかったんだよな、…?
………これで…。
自分は確かに間違ってない選択をしたと、そう心を落ち着かせるも、
なんだかあの最初にみたあの都の怖がった顔だけが脳裏をよぎる。
…やっぱり、やばかったかな……
でも、今更、助けになんていけねぇし…
……だって、あいつが俺の事知らねえって言ったんだ
常に頭の中はこの繰り返しで
「〜っっあ"ーーーーもうっっ!!!!」
こんな事になったのも、こんなにグルグルしてしまうのも、こんな気味わりい場所にいるからだと、俺はやや急ぎ足でその場から立ち去った。
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