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俺の親友はイケメンです
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「………疲れた」
心の声だった筈だ。
…いや、漏れたらしい。
やっと解放された俺はぐったりと、机に倒れ込む。
ホームルームは、早く終わりその分俺の説教に回された。
30分もの間、拘束されていた俺の心はもうズタボロ。あんまりにも、たけさんが怖いもんだから、職員室で泣いてしまった。
ぐずぐずと泣く俺をたけさんは、渋々といった様子で解放。
多くの生徒と先生が行き交う中、視線は俺に集まっていた。
恥ずかしさと情けなさが、俺に拍車をかけ、涙が止まらなかった。
「カッコわりぃ…」
再び溢れそうな涙を乱暴に袖で拭う。
目蓋はひりひりと熱を帯びる。
「泣いてるの?ゆーきくん」
声の方へと視線を向ける。
目の前には、整った見慣れた顔。
「!!?なっ…!」
近すぎ!近すぎだ、バカっ!!
思わずというよりも、反射的に距離を離す。切れ長の瞳はすっと細められ、俺を見詰めていた。
「…泣いてねーっし…」
ムスッと声を漏らす。
つーか、誰のせいだよ。誰の。
こいつは親友の斑蒔(ふじ)。
性格は意地が悪く、俺をよくからかう。
…泣いてたのバレるなんて、癪にさわる。
てかカッコ悪いし、バカにされるから絶対やだ。
フジはふーんと只俺を見つめる。
やめろよ、あんまり見ンな。
「目蓋、腫れてる」
すると、長い手が俺の顔を捕らえた。
ぎょっと驚く俺なんてお構い無しに、フジの顔はずいっと近付く。
「ばっ……やめ」
俺はフジの手を払い除けようと、身体をよじる。しかし、あっさりと両腕を掴まれ、顔はさらに近くなる。
俺の目は大きく見開かれ、瞳に映るのはフジの瞳、鼻、唇。
息がかかりそうで、身体が強張る。そして射るように向けられた瞳は俺だけを捕らえていた。
「涙の跡ついてる」
低く呟かれた言葉と同時に、フジの唇が接近してきた。
…え?
なにしてンの?
なにするつもり??
つーかなに考えてンだよっ?!!
俺の頭はパニック。
ぎゅっと固く目を瞑る。
暗闇のなか、目尻と目蓋に生ぬるい感触を感じた。
???
なに??今のは、なンだよ??
そっと目蓋を開けるとフジはぺろっと唇を舐めている。
「しょっぱ。やっぱ泣いたんじゃん」
薄く形の良い唇はにんまりと笑みを浮かべる。俺は唖然とその様子を眺めていた。
「今度は赤くなってますけど、ゆーきくん?」
意地の悪い表情で言い放つ。
熱は顔に集中していたらしい。
火照る顔は、熱くて熱くてまた目頭が熱くなってきた。
「……………………………っ…!!」
…この野郎。
人をからかいやがってっ。
お前なんて、少し顔が良いだけのくせにくせにくせにっ!!!!!
…なのに。そうだ、それなのに。
自分の髪をぐしゃぐしゃと掻く。
変だろ、フツーに。
(……何どきっとしてンだよ、俺)
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