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休日はデート?!
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こんにちは、波嶌夕柝です。
俺は今…水族館に来ています。
ナニコレ、本気でデジャブ。
……てか何で水族館?俺動物園派なンだけど。そんなことより、どーしてコウナッタ。…いや空気的にこれはフジと遊びに行かなくてはいけなかったけどさ!なんつーの?…………これって。
「デート、だけど?」
!!?!!!
「く、クソったれぇええええぇ!!!」
お前はエスパーか!
つーか、俺の背後で囁くなっ!
見ろ!鳥肌立っちゃったじゃねーか!!
…反射的にフジに暴言を吐き捨ててしまった。
俺の叫び声を不快そうに耳を手で塞ぐ。
「まあ落ち着けよ。ほら」
小さく頬を掻きながら、俺に券を手渡す。
俺は目を丸くしてフジと券を見比べる。
「…なに阿呆面してんだよ?それはお前の分」
いやいや、そりゃ見れば分かる。
…俺が言いたいのは、何スマートに俺の分まで買っちゃってンのってこと。
ぷるぷると身体が震える。
ま、まじでデートじゃねーか!!
俯く俺をフジは不思議そうに見詰める。
すると、すっと手を差し出された。
「デートなんだから、手だって繋ぐよな?」
…はぁ!?
「なに言って…」
たじろう俺に容赦無くフジは、俺の手を引く。フジの手は俺より大きくて、冷たい。
そしてそのまま歩き出す。
…フジはこんな風に女の子とデートしたり、すンのかな。……じゃなくって!!
「ちょ、ナニ考えてンだよ!男同士で繋ぐバカ何処にいるんだよ!!」
周りに見られるンじゃないかって、焦る。
ヒヤヒヤもんだろ!…つーか、恥ずい。
俺の言葉なんて聴いちゃいない。
フジはそのままゲートに入り、チケットを窓口のお姉さんに手渡す。お前も出せとばかりに、視線を向けるだけ。
「…っ」
お姉さんに見られる…っ。
恥ずい恥ずい恥ずい…。
自然とフジの背中にぴったりとくっ付く様に隠れる。お姉さんは、不思議そうに首を傾げていた。
「すいません。コイツお姉さんが綺麗で照れちゃったみたいで…」
フジはにっこりと愛想笑を浮かべ、お姉さんと話している。そして、俺の代わりにチケットを出してくれた。
そのままゲートをくぐり抜け、水族館の中へと入る。
俺はフジに手を引かれたまま、またフジの背中に顔を埋めて歩く。
……恥ずかしくて死ぬかと思った…。
つか、もう顔上げらンない。周りに見られてそうで無理。恥ずかしくて死にそう…。フジのバカ。
「何時まで俺に引っ付いてるつもりデスカ」
くるりと後ろを振り向き尋ねられた。
ドキっと何故だか心臓が高鳴る。
「…手なんか繋ぐからだ、バカ」
もごもごと話す。
お前が悪い。離せよバカ。
強くしっかりと繋がれた手。お前の手の感触が分かる、ヤダなんかヤダ。俺の手が酷く熱を持って、熱い。
俺の顔は更に熱い。真っ赤だきっと。こんな顔、お前にはぜったい見られたくない。
「顔上げろよ、ゆうき」
なのに、フジの一言に思わず顔を上げてしまった。耳に残る甘さ。とても甘ったるく響くから。
「…はは、真っ赤」
見たことがないくらいに綺麗に笑う。
嬉しそうに笑うもんだから、一瞬、見惚れた。
「…誰のせいだよ」
たかが、俺とのデートで何そんな顔してンだよ。お前ヘンだ、ホント変。
「……誰も見てない、俺しか、見てないから」
ぐいっと引かれる。
斜め後ろでピッタリとくっ付く。
フジは斜め前で、歩いている。
…やだ。
そんなのやだ。
お前に一番見られたくないンだよ。
そこは察しろ、バカフジ。
マフラーがあって良かった。
…こんな顔を隠せる。
少しの間、熱を誤魔化せる。
ヘンなフジを見なくてすむ。
…だけどホントは分かってる、知ってる。
一番ヘンなのは、俺だってこと。
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