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絶体絶命
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食後の運動がてら、フジくんをサウンドバックにするッてのは、どーよ?
ベッドから起き上がった俺は、軽くストレッチ。
よし!準備体操も万端だし、此れからアイツの部屋に乗り込んでギャフンと言わせてやンよッ!!
「つーか、俺のこと軽く無視してたこと、根に持ってンだからな!」
思い出しては、イライラモード全開!
なンだか知らねェけどさ、お前も言いたいことあンだろ?
いつもと様子が違うし、何だかすげー我慢してる様にも見えたし?
フジの奴、大切なものに限って隠しやがる。
人を頼らねーし、自分だけで解決しようとする。
(…ちったぁ頼りにしてくれてもイイんじゃねーの?)
頼りにならねぇことくらい、分かってる。
でもさ、言うだけ言っちまったら、きっと、ここンとこ…心の奥がさ、軽くなるかもしんねーじゃんか。
俺はバカだしチビだけどよ、
これでも男なンだぜ?
ダチの悩み事くらい、でっかく受け止めてやるっての。
(まあ…俺も人のコト言える立場じゃないけどよ)
俺の場合はいーのっ!
だってさ、俺が言わなくったって、お前はきちんと気付いてくれるから。本当にそばにいて欲しい時も、何時だってどんな時だって。
だけど、俺はわかんねーンだよ。
鈍感で察しもよくねェ俺はさ、ちゃんときちんと、言葉で伝えてくれなきゃ、言ってくれなきゃわかんねーの。
「ッあー!ムカついてきた…!何様だッつーンだよ、アイツはっ!!」
ひとりで解決出来ますって?
アイツは、フジサマは俺なんかのチカラ借りなくっても、なんでも出来ますってか??
…ッハ!!、ジョーダンッ!!!
イライラゲージはグングン上がり、爆発寸前。
勢い良く扉を開け、部屋を飛び出した。
「…そういや、フジの部屋ってどこだ…?」
勢いよく飛び出したものの、辺りをキョロキョロ。
似たような部屋の扉がいくつもある。
(……うーむ。確か、皆2階の筈だったよな、)
両腕を組み、考え込む。
見る限りだとざっと5部屋、、。
俺のを入れて、6部屋だ。
…そして。
俺は、長い廊下を歩く。
曲がり角を曲がれば、また部屋。
ひいふうみ…こっち側には部屋は5つ。
全部で11部屋もあるのかよ、、、。
(……ぜってー、お手伝いさんとか何人か雇ってるよな、、、)
住み込み…?だとしたら、手当たり次第ドア開けて確認したらまじ俺失礼じゃん。
あらぬ誤解とか受けちゃったりなんだり。
「…め、メイドさんとか…いるのかな…ッ?!!」
ゴクリ、生唾呑み込む。
イヤイヤイヤ!!いくら、金持ちの松野くんの家でも、メイドさんは流石にいないでしょ!!!何言っちゃってんの!!オレ!!!!!?
…いや、でも待てよ…。
もしも、だ。
こんな広すぎる豪邸に、松野父、母、松野息子3人家族だとすンじゃん?絶対、3人じゃ広すぎるよね?3人じゃこんな所住まないよね??
イヤイヤイヤイヤ。
分かンねーか。もしかしたら、松野くん兄弟いるかもしんねーもんな。アレだよねアレ。
某アニメの、お〇松さんでも大家族じゃん!あんなに家族いるじゃん??!!
松野くんと〇そ松さん同じ名字じゃん?!!!!?
と、言うことは……。
「………松野くんって、6人兄弟…」
確信に触れつつある俺は、額からぽたりと零れる汗と、高鳴る鼓動に、身震いを覚えていた。
そんな俺の勝手でチョー楽しい妄想を、あっさりとぶち壊し、ずかずかと土足で踏み込んでくるくっそ天然な馬鹿。
「…いや、マッツーは一人っ子だよ、確か」
廊下の真ん中で、傍から見れば不審な動きをしまくってた俺。
その一部始終をコイツ、一番厄介な沖に見られていた。
クッッソ恥ずかしいとか俺我に返って何やってんの?!俺ェエエエエ!!!!?なんてツッコミ入れてやりてーし、数分前の俺を往復ビンタしたい衝動をなんとか抑えて。
(…何かしらねーけど、嫌な予感がビシビシ伝わるのはナンデダロ…)
冷や汗ダラダラ止まんねー情けない俺は、自分でもドン引きする様な阿呆面で、コイツ、沖を見つめていた。
「ゆーきチャン、みーっけ、♪」
ピーンと長い人差し指で俺を指す。
人懐っこい、この馬鹿みてーな笑顔が、この上無く恐ろしく感じたのは俺の勘違いであって欲しい。
「……へッ、えええ~…?」
渇いた笑いが込み上げてくるのが、分かった。
絶体絶命って、こんな時に使う言葉なんだろうか?
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