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あと少し歩けば俺の家に着く
家に着いたら立花と話しができる
俺はそれだけを考え足早に歩く
そんな俺の視界にいつも寄るコンビニが見えた。
コンビニの硝子越しにキョロキョロと誰かを捜す様に外を眺めるコンビニ店員の沢田さんの姿が見えると、大人しくしていた立花がグッと立ち止まり「離せ、帰る」そう言い出した。
「帰せない」
『煩ぇっ。離せって言ってんだろっ』
俺の手を振り解こうとする立花の腕を離さない様に更に強く掴んで再び歩き出そうとした時、店の中から沢田さんが出てきた。
店員「草野君っ」
「あ…沢田さん」
店員「あの…私、草野君の事…待ってたの。話しがしたいんだけど…」
話しがしたい、そう言って沢田さんは立花をチラッと見た、きっと立花には居て欲しくない、そういう感じの視線だった。
立花はそれが解ったのか『話あるんだってよ、手…離せ。行ってこいよ。』俯きながらそう俺に言った。
今、手を離せばもう掴むことは出来ない気がする
本当に終わってしまう気がして、俺は手を離せなかった…
俺は立花の腕を掴んだまま沢田さんに話を聞くと言い、沢田さんも立花も困った様な顔をしたけれど承諾してくれた。
立花は溜息をついて大人しく俺の背中に隠れる様に立っていて、沢田さんは少し顔を紅くしながら…俺の事が好きだと言った。
店員「好きです」
そう真っ直ぐに俺を見て言った沢田さんの言葉に、俺の後ろにいる立花の身体が強張っているのが掴んだ腕から伝わる。
人からの好意は正直に嬉しいと思う、だけど…俺が一緒に居たいのは…
「…俺が一緒に居たいのはアンタじゃない」
店員「…そう…ですか」
「じゃぁ。急いでるんで」
俺は立花を連れ、その場から立ち去る。
沢田さんの目から涙が流れていた事に気付いていたが、それよりも俺には立花と話をする事の方が重要だった。
『あんな断り方無いだろ…』
「俺が好きなのはあの人じゃない」
『……それでも…』
「優しく断るのか?そんな断り方知らねぇよ」
家に着いた俺は玄関に立花を押し込んだ。
なかなか靴を脱ごうとしない立花を担ぎ上げ、暴れる立花の靴を取ってリビングのソファーに立花をおろす。
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