アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ある晴れた日に 5
-
「あーあ、もう…だから言ったじゃん」
青い顔をして戻ってきた影山を見遣る。
部活も終わり、部室で帰り支度をしている時だった。
腹の調子を悪くして練習中にも何度か抜けていたのを知っている。
さすがに練習に支障をきたしてしまっているのは罰が悪く感じてしまう。
「う゛、るせえ…ボゲがぁ…」
全く怒気の籠もっていない声音に、少々たじろぐ。
他の部員は早々に支度を済ませ一人、また一人と帰っていく。
最後に澤村が戸締りを呼びかけ部室を後にした。
山口はというと月島を気にかけつつも、何故か謝りながら数分前にそそくさと帰っていった。
山口のヤツ…察してるくせに、何なのあれ。
どこかよそよそしい幼馴染を思い出し、ようやく着替え始めた影山にばれないよう溜息を吐く。
壁にもたれ、じぃ、と形の良いまんまる頭を凝視する。
「…おい」
「え、何」
後ろを向いたまま呼ばれ、不意を突かれる。
「見すぎ、だっつーの」
語尾がだんだんと小さくなるところを見ると、…照れている。
証拠に耳、そして心なしか項も赤い。
「…今日、うち泊まれば」
考える前に口が動いた。
返事をするよりも前にこちらを振り向いた影山の表情が、綻んで眩しい。
それが可笑しくてつい笑ってしまう。
「カレー!」
慌てて着替え終え、荷物を持った影山の声はワントーン明るい。
ぱち、と蛍光灯が切れる音が鳴り部室の施錠を確認する。
カンカンと階段を二人分の足音が夜の校舎に響いていく。
田舎ならでは、虫の音なんかも聞こえてきて季節を感じた。
「はいはい」
影山が隣りに居ることが当たり前に感じるようになってしまったのは、いつからだったか。
教科書にさえ載っていないような感情。
愛おしいとさえ感じてしまう一瞬が、尊くも悔しい。
それを誤魔化すように、呆れたように笑って二人帰路につくのだった。
END
あとがき
すっごい昔のリクエストを消化しました。
書き終えることができてよかったです。
年月が経ってしまいましたが、
リク主様に届くことを願うばかりです…!
実はこのお話は何度か書き換えています。
完成版はpixivにうpしますのでよかったらそちらも覗いてみてください。
まだブランクもありリハビリしたいのでよかったらジャンル問わずリクエストしてもらえるとうれしいです!
ここまで読んでいただいてありがとうございました!
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
44 / 46