アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3-2
-
スズヤは「自身から接触しなくても」とは思っていたが、乗りかかった船。終了しては後味が悪い。
さて、後は二人に任せて教室に戻ろうと足を踏み出した時、リクトが「マナブ」「あいよ」っとなんとも息の合った短い会話が後ろから聞こえたかと思えば、マナブが突然スズヤを肩に背負いはじめた。「さて、病院に行かましょうね〜」なんて軽々しい台詞と共に。
「こっからだと、何処が一番近いだろうか」
「嫌、大丈夫だから兄貴加勢すれよ!」
「そっちは別に大丈夫だろうよ、何人かかって来ようが卑怯な手だろうが関係ない。それにリーダー命令だからな」
頬を少し上げ「心配するな」と声をかけられたが、心配などでは無くマナブの立場上の話しであり、さらに言わせてもらうと、わざわざ助けなど使わずとも歩けるのが本音。
ジタバタと肩で暴れるスズヤに対して「こらこら」と困った表情をする彼が切り札として提出してきた言葉は以下だった。
「あまり暴れるとお姫様抱っこにするよ」
「ふざけんな!」
秒殺の如く切り捨てる。
スズヤからすれば「野郎同士などなんの罰ゲームだ」と素直かつ率直な感想であり、嬉しくも楽しくも無い。
そんな二人のやり取りを見ていたリクトすら苛立ちはじめ、踵をつけたままつま先をを上げリズミカルに何度もコツコツ鳴らし、次第にテンポが速くなっていくと「おい」と低音が流れた。
「遊んでねーでさっさと行け、鬱陶しい」
「あれ、弟君と仲良く戯れてる姿みて拗ねた?」
「いいからさっさと行け!」
これを仲良くと言えるのだから怖い物。また、リクトに対してあの態度も素晴らしい。
相手がマナブでは無く自身であったならと考えてしまったらスズヤの思考が恐ろしいこととなる。
本来緊張感で張り詰めるこの現場で、空気をガラッと入れ替える彼は、力で指揮をするリクトと正反対なリーダー肌なのであろう。
指揮者がリクトであれば、伴奏者はマナブって例え方がしっくり来る。あるいは、マナブが指揮者でリクトが演奏者なのか。
そんなこんなで、2人のペースに流されてしまっていたスズヤ。気がつけば、自身をかついだまま鼻歌交じりでマナブが歩き出していた。
「どさくさに紛れて平然と進むな!」
「進まないと病院行けないし、それに話し聞くとかなり食らったみたいじゃんか。折れては無い様子だけど、肋骨とかすぐヒビ入るし、足首なんかすぐ捻挫する」
「ヒビが入ろうが、捻挫しようが、病院で渡されるのは湿布だけだろ!」
病院では捻挫はもちろん。肋骨にヒビ入ったとしても、治療法など無く湿布を渡される事が多い。スズヤは何度か病院にかかった記憶があるため、それらは経験済みである。
また、この男も同じ意見なのか「まぁ、それはそうなんだけど」と付け足ししたので「なら、なぜ無理矢理でも病院に連れて行こうとするのか」と問いたかったが、そのやり取りすら面倒くさくなり、口を閉じた。
せめて「病院行く条件として自身を下ろせ」と条件を出して、お互い渋々行動に移す。
この男はそんなに野郎をかつぎたかったのかと疑問を片隅に置いておいて。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
10 / 51