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されるがままに、ホテルに到着した一行。
無論のこと、道端、ホテル入り口、ホテル内。アルビノだけでも目立つであろうに、色男が野郎をお姫様抱っこなど注目の的。
「……平気な顔してよく出来るよな」
「平気なもんは平気だからな」
部屋の片隅に置いてあるシングルベッドの上で、スズヤは赤く腫れている足に薬を塗りながらリクトに語りかけた。
彼は手前に置いてある原型すら残さず散らかされたベッドに腰掛けており、使用人の性格が露出されている。
余談ではあるが、今回二人旅行券と言うことで、部屋は二人部屋を用意されている。部屋割りは単純に同級生同士で組まれており、スズヤとアスカ。隣の部屋にはリクトとマナブ。つまり、散らかったベッドはアスカが使用している物で溢れかえっている訳である。
「……一つ聞いていいか?」
そんなお粗末なベッドの上で放たれた一言に、面倒くさがり屋のスズヤは「んー」と適当に返事をしてみれば「てめーは何故家族の単語にこだわって拒絶するんだ?」なんて言葉が流れて来れば、薬を塗っていた手をぴたりと止める。
「……人付き合いが下手なだけで、友達関係では嫌な素振りを見せない」
「意味がわからない」
「嫌々言いながら、実は友達関係は本当は楽しんでるしな。でなきゃ、お前があの場所に足を運ぶような理由も、今回旅行に来た理由も思いつかねー」
あの場所とは黒風白雨の溜まり場の事を言っているのであろうが、スズヤはあの場所へ足を運ぶこと特に意識したことは無い。
旅行も「旅行券勿体無いからスズヤンも来てよー」とアスカに泣きつかれた為に参加した。
「……考えてすぎじゃないの?」
言葉が言い終わる直前、ゆらりと自身の辺りが影に包まれる。何気なく上を見上げれば、鴉が見透かしたような瞳で霧に覆われた少年を黙って見つめていた。
スズヤはその視線から逃げるように顔を下に戻し、止めてた作業に戻るのだが、そんな行動にリクトはスズヤの顎を人差し指で持ち上げ、逃さず捕らえる。
「なら質問のやり方を変える」
「……なに?」
「家族はいない。あの台詞の真意を聞かせろ」
スズヤはあまり触れられて欲しく無い部分に触れられ、眉を寄せながらリクトの腕を払いのける。その後の行動は薬をベッドに投げ捨てては立ち上がり、兄の横を通り過ぎればそれは「話すことは無い」と返事を言っているのと同じ意味。
だが、その行動にご立腹なリクトは「ふざけんじゃねーぞ、クソガキ」と小さく呟き、スズヤは腕を引っ張っては、ベッドに戻し倒される。
「何としても口を割らないつもりか、てめーは」
ギシリと音を立て、スズヤを逃さないように胸ぐらを掴めば、赤い瞳には様々な感情が混ざり合っているリクトの様子が映し出されていた。
怒り、悲しみ、それと__。
こちらの感情は何であろうか。
スズヤの知らない感情が混ざり合っており、息苦しそうで見たことの無い彼がそこはいた。
知らずの彼に返す言葉が見つからず、スズヤはただ目線だけを彼から逃した。
「……そういえば、海で素直な感情出してたよな。珍しく考えも無しに走り出したり」
「はぁ……?」
「……ちょうどいい、この前はマナブに邪魔されたが、俺も俺自身について確認しておきたかった事があんだわ。ついでにどっちもハッキリさせてやる」
前半の意味は伝われど、後半の言葉の真意がわからず。スズヤは咄嗟に「何か言葉を」と思い口を開いたが、一瞬の如く視界が闇に導かれた。
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