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2-3 (R.18)
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「それだけか?」
「……はい?」
あまりにもアッサリした回答に、真っ赤な目をきょとんと丸くする。そんなスズヤに対して少しばかり気を悪くしたのか、「何か文句でもあんのか?」と顔をムスッとさせるため、迷いも無くちょっと待てと意義を申し込む。
「もっと驚くとか、もっと話しに突っつくとか……」
「あの糞ババァなら浮気とか平気でするだろ。今更なんだよ」
リクトはスズヤの頬に優しく手を差し出せば、黒い瞳は赤い瞳を逃がさず語り出す。スズヤの知らない彼の背負いこんで来た現実を知り、自分ばかりと思っていた心が少し揺らいでしまった。
本人は決して認めはしないが、スズヤが味わったことの無い苦痛を幼かったリクトを傷付けていたのだと。
「馬鹿二人が離婚した後、ババアは毎晩のよう違う男を連れて来た」
リクトは水着の中に入り込んでいた片方の手を器用に触れるか触れないか、縦線にそって上に出て行き、スズヤは「っ……ん」と声を出しヒクつかせた。
「毎晩、毎晩。違う男が目の前にて、いつの間にかババアが家にすら帰ることすら減った」
リクトはおもむろにベッドの上に投げ捨てられていた塗り薬を取り出せば、先ほどスズヤの下を触っていた手で大量にすくい上げ始める。
買ったばかりのそれが三割ほどしか残っておらず、彼は何故取り出したのか、また何故そちらの手で触ったのかと。塗り薬は衛生面で使用できなくなってしまった事に少しばかり不愉快なスズヤ。
「お前の記憶だと俺は可愛がられていたイメージかもしんねーけど、離婚後つーのは実際こんなもん。そんなのを十年間も見てきたんだぞ、驚きもしねーよ」
手に盛られた薬を指先中心的にに馴染ませはじめたが、取り出した量と釣り合うことは無く、リクトの指先はベトベトと糸を引いていた。
「後、なんだっけ。捨てただのなんちゃらか」
人の話をきちんと聞いていない証拠。呆気なく事が進む現実に、先ほどの焦りが少しずつ消えていく。「家族はいない」の一言で、リクトは少々悲しそうな表情であったのに対して、今回はその理由の言葉に反応を示さない。悲しみや切なさよりも、事実は知らないが覚悟していたと言いたげな表情に違い。
「言い訳になるから、そこにツッコミを入れねーが、あいにく今は簡単に手放すつもりは無い」
「……意味がわからないんだけど」
完全に警戒心が溶けてしまったスズヤに対して、リクトは容赦無く水着を脱がしはじめた。よくよく考えてみれば、スズヤの手首は延長コードによって塞がれ、パーカーは半分脱がされ。そんな状態で気を張らず、通常通りの受け答えを開始した自身が不思議でたまらない。
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