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1 南河の敗北
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酷く驚いた。
何がって、こんな不釣り合いな場所で弱々しく電柱にもたれかかっている彼に。
「ぅ…おえ…っ」
何時も力強く発言する口から息が漏れ、吐き出された物から微かに悪臭がする。同時に、アルコールの臭いも鼻をついた。
それはこの場所では見慣れた光景で、相手が中年のおじさんだろうが、学生服を着た少年少女だろうが、驚くことはさほど無い。
何も気にすることなく通り過ぎようとした時、俺は酷く驚いた。
クラスの委員長がそこに居たからだ。
こんな不良のたまり場に、きっちりと着こなした制服姿で。
頼りなさげに丸められた背中は普段では考えられない程に弱々しく、あの気の強そうな目には薄らと涙さえ浮かんでいる。
だから俺はその異様な光景に、つい声をかけてしまったんだ。
「何やってんの…委員長」
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