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その後教室から出ていく寺野を見送ってから、番号が手から消えない内に登録しておく。
家族と言っても一人しか居ないため、電話帳は二件だけだ。
今まで思いもしなかったが、考えてみれば今時の男子高校生にしては寂し過ぎるんだろうな。
それから、人との関わりなんて要らないと思ってた俺がこんな事考えるなんて、と何とも言えない感情を持ちながら携帯をしまう。
寺野や木乃…一応、南河にも
優しく接せられて少し自分が変わった様に思う。
それは自分でも良いのか悪いのかわからない変化だ。
弱くなった、と言えばそれまでだが、今まで雁字搦めだったのが、緩くなったような気もする。
だけど同時に戻れなくなる。
一度気を緩めてしまうと、もう最初に戻るのは難しいだろう。
こんなに周りに優しくされると、頼ってしまうと…一人では生きていけなくなってしまいそうで。
一人で生きていく必要なんて無い、なんて今の俺には…いや、きっとこの先も考えられない。
ぐるぐると考え込んでいた所で風に打たれた窓が鳴りはっとする。
やけに静かだと思ったらもう教室内には自分一人しか居なかった。
時計を見るともう下校時間ぎりぎりで、窓の外も薄暗い。
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