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跡を残して
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「ど、どうすんだよこれぇ!?」
あまりの急展開に混乱しながら、半泣き状態で伊織は叫んだ
目の前では真っ赤な炎が燃え盛り、その中でテオと羚、会長の3人が激しく争っている
止めなければと思うのとは反対に、体は恐怖で全く動かない…
「どうしよう……。これって、俺のせい…だよな……」
俺が人間だから…、人間に知られちゃいけないから……
自分のせいだと、伊織は自分を心の中で責めた
激しく争う音、獣の様な唸り声、相手を罵る言葉…
炎の中から聞こえてくる彼らの殺し合いが、伊織をとても不安にさせた
目には零れそうなほど涙をため、ただ床に座り込んでいる
そんな彼の肩に、ポンっと誰かが手を置いた
「……!?」
驚いて振り返ると、そこにはとても美しく整った顔があった
じっと、伊織の顔を見つめている
「だ、誰………」
「大丈夫か…?」
「え………?」
「人間だろ……。お前」
「え…」
その言い方は、自分自身は人間ではないと言っているようなものだ
伊織は更に恐怖を感じ、固まってしまった
「……………俺は襲わない。止めに来た」
その言葉に伊織は、敵ではないのか…?と少し安心する
すると、それを察してか美しい男は伊織の頭を撫でて立ち上がり、優しく微笑みながら伊織を見下ろした
「俺、狗井…。アイツが迷惑かけたな…」
そう言うと、狗井と名乗った男は深く息を吸い込み、その姿を徐々に人ならざる者に変化させていく
変化を終えると、大きな耳と尻尾をユラユラと揺らしながら、ゆっくり炎の中に入っていってしまった…
伊織がポカーンとしていると、しばらくしてから炎が消え、全員ボロボロの状態で現れた
「テオ!羚!大丈夫か!?」
「あぁ、これくらいどうってことねーよ!」
「あら、心配してくれるのね!嬉しいわ♡」
伊織が泣きながら2人に駆け寄ると、羚とテオで伊織の頭を撫でながら3人で強く抱き合った
一方、3人の和やかなムードとは正反対に炎琵はしかめっ面で明らかに機嫌が悪そうだ
その隣では、先程伊織に声をかけてきた狗井が無表情で立っていた
「狗井……、何故邪魔をした…」
「面倒事はやめろ…」
「面倒事だと…?人間に俺様達のことを知られ、それをそのままにしておく方が余程面倒事になるわ!!」
声を荒らげ、また全身を激しく炎につつみ炎琵は怒りを顕にした
だが、それに全く物怖じせず狗井は言葉を続ける
「ソイツは特殊だ。問題ない…。俺が保証する…」
「何故そう言いきれる?」
「俺を信じられないのか…?」
「………………チッ」
炎琵は小さく舌打ちをすると、伊織達の方に振り返った
「今日はこの辺にしておいてやる!!だが、俺様はお前達を見逃してないからな!!!」
「デッケー声……」
「わんちゃんといい勝負ね〜…」
「んだと!?」
「羚とテオすぐに喧嘩するー……」
伊織が2人に呆れていると、炎琵が突然近づいてきた
思わず後ずさりすると、ガシッと腕を掴まれる
「え、な、なに!?」
「黙っていろ」
「いだぁ!?」
突然首元に痛みが走る
なんと、突然炎琵が伊織の首元に噛み付いてきたのだ
それにテオと羚は汚い叫び声を上げた
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!?!?」
「フッ……」
炎琵はしっかりと伊織の首に噛み跡を残し、それを確認すると不敵に笑った
満足そうに頷いた後、テオと羚の方を見てニンマリと笑う
そして、鼻で笑った
煽ったのだ
「お前………」
狗井は少し呆れたような顔で、炎琵を横目で見ていた
噛まれた当の本人…、伊織は口から魂を飛び出させ
「カニバ……リズム…?」
と呟いていた…
続く……
後書き
作者ですm(*_ _)m
最近仕事が再び忙しくなり、社畜になっているので更新遅くなってます……。すみません┏●
ゆっくりにはなってしまいますが、更新していきます!
これからもこの小説をよろしくお願いします( ;ᯅ; )
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