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零れ落ちる砂 - 巡side -
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あんなことを言っておきながら、服部は夏休みを物凄く楽しんでいた様子。
腹が立つ
睨んでも見向きもしない。
結局は興味本位でしかないんだ。
って、俺は何考えてんだよ!
兄ちゃんは諦めろって言った。
考えるな……かんが…ぇ…
……ん゛ん!何でッ!…
腹立たしい気持ちと忘れようとする気持ちとまだ信じてたいと思う気持ちを、兼ね揃えている自分にイライラする。
煮えくり返った気持ちを落ち着かせる為に、ヘッドホンをつける。
何も流れてこないヘッドホンの意味はあるのかと聞かれれば、あると答える。
着けることで最小限になる周囲の音。
これは何処と無く違う世界にいけてる気がする。
そして話し声が歌の代わりとして耳の鼓膜に届く。
ヘッドホンは人と関わるのは嫌いなのに、無音なのは耐えられないと言う矛盾が生じた結果なのだ。
放課後の誰もいない教室で、外の部活動生の声を聞くのは一番楽しい。
体育祭前には騒がしくて仕方なかったけど、ヘッドホンを通して聞こえる声達は、いつもとは一層違って聞こえた。
その場に俺もいる。
声が近いせいか、そう感じた。
だからって実物と馴れ合う気はない。
体育祭はあるはずもないのに、
一致団結とか
いい成績をとっただけで貢献した
気持ちが一つになった
だのほざいて、馬鹿らしい。
本気でそんな事思ってないくせに。
なんて、頭ではみんなを馬鹿にしてるくせして、運動場外周辺に私服で足を向けてる。
相変わらずのヘッドホンをして、異空間の中で俺だけの体育祭を味わう。
こうして一つ一つ
自分が本当に望む事を手放していく--。
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