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取り戻したいⅢ
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避けるなら
避けられるなら
同じように
頭の中からも去って欲しい
邪魔臭い。本体はいないのに、偽物はずっと頭の中に居座る。触れれもしない虚像に何を抱けと言うのだろうか。同じ空間にいたとしても、近くにいるのはいつも虚像だ。
「もう、嫌いになっただろ…?」
頬を伝って流れ落ちた涙は、床に小さな水溜りを作った。
「何処行ってたんだよ!」
「んー…ちょっと」
「柊季いねぇと話しても物足んねぇのな?わかるか?本人様!!」
ずいっと顔を近付けた凪は、真顔で見つめたが、一瞬にしてにかっと歯を見せて笑い離れた。
「わかってるよな、柊季だから。……ウザいくらい突っ込めば?今の柊季はダセェ!」
好き放題言った凪に背を向けて教室を出る。わかってる事だけに嫌味に感じてしまう。分かってても出来ねぇ事ってやっぱり一杯あって、人一人に対応する能力って中々ねぇんだわ。気難しい奴と簡単な奴と違うみたいに。
巡は気難しい方だ。
近付き過ぎたら今みたいに離れていくし、遠ざけ過ぎたら今みたいに無視されるし…。
どれも言い訳にしか過ぎないんだ。
友達って言う壁が邪魔してる。
それも俺だけの言い訳だ。
言い訳をせずに言うならば……
距離感が掴めなくて、考えんのも接するのも面倒臭くなった。告白する勇気さえない。
そんな自分が頼りなくて、未熟で、情けない。
本音は、
……自分でもわかってない
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