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過去(時雨)6
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「お前にはこれが足りない」
「……チューリップ?」
あの日から1ヶ月が経った。
それから何故かずっと虹と一緒にいる。
今は下校中で、虹が唐突に紙を取り出して見せてきた。
それで知ったことだけど、虹は花が好きらしくて、事あるごとに下手くそな絵で僕に花言葉を教えてくる。
「花言葉は思いやりだ」
下手くそな絵を破いた。
「あぁっ、俺の傑作が……!」
「余計なお世話だよ。
それと、絵、下手過ぎ」
なんとなくチューリップだってわかったけど、この前のヒマワリなんて、コスモスかマーガレットかわからないくらいに下手くそだった。
「まぁ、でも、今日の本命はこっち」
そう言って、虹は二枚目を取り出した。
やっぱり壊滅的。
「またチューリップ?」
「そう。
だけどこれはピンクだろ?」
「いや、紫に見えるよ」
「紫もピンクも同じだろ」
「全く違うんだけど」
「まぁ細かいことはいいんだよ」
ピンク(紫)のチューリップを僕に渡してきた。
なに、また破いて欲しいの?
そう思っていると、虹が立ち止まった。
交通量が少ない細い道だからって、もし誰か来たら絶対変な目で見られる。
「ピンクのチューリップの花言葉は、
誠実な愛、愛の芽生え、だ」
「??」
「で、赤いチューリップは愛の告白だ」
「赤なんてないじゃん」
「ここにある」
そう言うと虹はカバンから、本物の綺麗な赤色のチューリップを取り出した。
「時雨、好きだ、付き合ってくれ」
虹はチューリップを僕に差し出してきた。
「……僕、男だけど」
「知ってる」
「……本気?」
「俺は嘘ついたことないだろ?」
「……その言い方が不安になる」
「本気だって。
じゃなかったらこんなことしないだろ、普通」
僕は赤いチューリップを受け取った。
「時雨……!」
「…………別に、いい、けど……」
なんだかんだ、僕も虹のこと好きなんだよ。
結構前から自覚してる。
「お前こそ本気か?」
「僕のこと信じられないならこのチューリップ、虹の目に突き刺す」
「信じるに決まってるだろ」
どことなく焦ったように見えるけど……
まぁ、いいや。
「…………僕は結構前から好きだったよ。
言うつもりはなかったけど」
「は? なんでだよ」
「…………なんか怖かったから…………ホモかよ、って言って気持ち悪がられんの……嫌だし……」
「お前ってたまに可愛いよな」
「可愛くない」
「俺はお前のこと、1年の時から好きだったぜ?」
「…………は?
1年の時からって、僕、虹と接触した覚えないんだけど」
「一目惚れだ、悪いか」
………………一目惚れとか…………
僕は君の第一印象最悪だったけどね。
そう思ったけど、言うのはやめておいた。
その代わりに虹に抱きつく。
「は、え? 時雨?」
「僕なりの愛情表現」
「何だそれ……可愛過ぎだろ……」
そんな訳で、僕たちは晴れて恋人同士になりました。
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