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過去(時雨)8
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「お前ホモかよーwww」
なに、コイツ。
チャラチャラした見た目してさ。
なんかムカついたから、ソイツの耳元で、
「同性愛者なんて世界には沢山いんだよ、ソイツら馬鹿にしてんのか?
あ゙?
今すぐぶち犯すぞ」
と、囁いた。
「何言ってきたんだよ……アイツ、顔真っ青だぞ」
「別に、ちょっと脅しただけだよw」
虹の疑うような視線も気にせずに自分の席に座る。
高校1年生の梅雨、大分慣れた時期。
毎日毎日雨ばっかり。
「はぁ、湿気で髪の毛跳ねちゃうし」
「それ湿気のせいだったのか。
寝癖だと思ってた」
「君、何年僕の彼氏やってんの?」
「今年で2年。
つい最近記念日だったろ」
「そうだね、悪乗りして酒飲んでたっけ」
「お、小ぶりになってきたぞ」
そうやって話題そらすし。
記念日は悪乗りした虹が酒を飲んで呑まれてた。
そのせいでヤられかけたんだから。
もちろん関節技決めて倍返しでイかせまくったけど。
「ねぇ、時雨くん、今日遊びに行かない?」
「あぁ、ごめんね、今日はデートなんだ」
「えー、時雨くんって彼女いたの? 残念」
「彼女www」
そう言って虹を見れば、何かわかってないようで首を傾げた。
「そう言えばもうすぐテストだね、時雨くん、勉強してる?」
「うん、まぁぼちぼちね」
「時雨くんって新入生代表もやったし、頭いいんだよね、一緒に勉強しない?」
「ごめんね、僕、恋人専門の家庭教師だから」
「やだー、なんかいやらしく聞こえるー」
「年頃の男子ですから」
「きゃー、私もしてほしいー」
………………視線、視線感じるよ。
そっと振り向けば、虹が拗ねたようにこっちを睨んでた。
「ヤキモチwww」
「何か言ったー?」
「ううん」
僕は何故か高校でモテてる。
まぁ、中学校と性格変わったと思うし。
全部虹のおかげなんだけどね。
当の本人はふて寝してる。
「お前さ、笑顔振り撒き過ぎだろ」
「なに、嫉妬?w
“楽しくなくても笑ってれば楽しくなるだろ”って言ったのは虹でしょ。
アレ名言だと思ったのに」
「いや、これとそれとはまた話が別な訳でな?」
ちょっと焦ってる虹にクスクス笑ってると、虹は微笑んで短く息を吐いた。
「なに?」
「いや、笑うようになったな、と。
作ったヤツじゃなくて、自然に」
「そうかもね、全部虹のおかげだよ」
「お、おぅ///」
「何赤くなってんの、キモw」
「お前、やっぱりツンデr」
「あ゙?」
「いや、別に」
焦った虹は顔を背けた。
こんな日々が、ずっと続けばいいと思ってた。
そんな日々が続いて、僕らは2年になって、あっという間に秋になった今日この頃…………
『生徒会長の篠宮時雨です。
この学園が良くなるよう、精一杯努力したいと思います。
よろしくおねがいします』
僕は何故か生徒会長になっていた。
「はぁ……なんで僕が……」
「ククッ、お前がモテるからだろ。
頭もいいし、運動神経もいい、おまけに容姿もいい。
性格はツンd」
「あ゙?」
「時雨くん、やっぱり凄いねー」
「僕で大丈夫か、ちょっと心配だけどね」
「大丈夫だよー、時雨くんってなんでもできるし」
「買い被り過ぎだよ。
でもありがと」
「「「きゃー!」」」
ちなみに僕のモテ期は最高潮らしい。
別に嬉しくないけど、虹にとって誇れる彼氏ならいいと思う。
ただ、この視線をどうにかしてほしい。
虹、わかりやすいよ。
モテて、嫉妬されて、でもそれがなんとなく嬉しくて…………
浮かれてたんだと思う。
だから虹は一人で抱え込んで…………
生徒会にも慣れて、でも忙しい11月のこと。
最近虹の様子がおかしい。
どこがおかしいかって聞かれると言えないけど、何かおかしいんだ。
「虹、大丈夫?
何か悩みでもあるなら聞くけど」
「もしかしてデレ期か?」
「馬鹿」
僕は本当に心配して……
「いや、お前が忙しくて、なかなか一緒に帰れないな、と思ってるだけだ」
「虹が寂しいなら生徒会やめるけど?」
「それは皆に迷惑だろうが」
「それは冗談として、本当に何かあったなら」
「ほら、生徒会遅れるだろ」
「本当だ……じゃあ、行ってくるよ」
…………無理して笑ってるように見えるんだよ。
お願いだから抱え込まないで。
僕にも君を助けられるような存在になりたいんだよ。
あの時、助けてもらったんだから。
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