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二人が別つ時まで……
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「先…輩……?」
先輩の
いつもとは違う様子に
何故か
不安になった。
さっきまで自信に満ち溢れた先輩ではなく
弱々しく
何かに怯えているように見えたからだ
「お前をこんなことに巻き込んで
………悪かったと思ってる」
先輩は切なく悲しそうに
顔を少しだけ歪めた
「ど、どうしたんですか、急に……」
「………………」
「は…ははっ………こんなの
ただの遊びじゃないですかー
命がなくなるわけじゃないのに……
大げさですよ?」
彼が今にも粉々に壊れそうで
慌ててフォロー
したけれど
先輩は
卑屈に微笑むだけだった
「この手錠に繋がれてる間は
必ず…必ずお前のことを守るから
だから………」
そう言ったきり
先輩はまた下を向いて黙った
僕も黙って
続きの言葉を待つ
「………だから、俺らも
フツーに文化祭を楽しもうぜ?」
先輩はパンっと手を叩き、
辺りの空気を一掃した。
突然いつもの先輩が現れて
僕は面食らった。
「…………なんだよ、嫌なの?」
「い、いえ……」
「だったら返事は?」
誤魔化された………のだろうか
いろいろ気になることはあったけれど
先輩からの思いがけない提案に
さっきまで雲っていた心に
光が差していく。
素直に嬉しくて
「………はい!」
勢いよく返事してしまい
かぁっと顔が熱くなった。
「………お前」
「な、なんですか?」
「………いや、いい。何でもない
どっか行きたいとこねーの?
俺は用済んだから」
先輩は残っていたおでんのちくわを
一口で食べた。
『行きたいところ』と聞かれ心が踊る。
なんだか、デートしてるみたい……
「あの!実は僕、
行きたいところがあって……あ、
また食べ物になっちゃいますけど
いいですか!?」
先輩の眉間にシワがよった。
「…………お前」
「……やっぱり、ダメですよね」
「いや、ダメじゃない。いいけど」
「『けど』、何ですか………?」
先輩は素早く周りを確認すると
顔を近づけて
触れるだけのキスをした
「……――――っ!!」
「そういう顔、あんまりすんな」
フワリと重ねられた唇は
風を掠めるように
優しく離れていった
………そういう顔って
どんな顔だよ
唇からじわじわと
熱が広がっていく
………先輩こそ、
こういう事するのやめてください
勘違い
したくなるから………
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