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わたあめ【side/周防 恭介】
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「先輩、次どこに行きましょうか」
椎名は俺が持ってるわたあめを
つまんで食べながらニッコリ笑った
うぅ……めんたる破壊神め
マジでソレやめて……
今すぐ押し倒したくなるだろ
電話を切ったあと
椎名の怒りは
嘘のように消えていて
俺の手を引っ張りながら
校舎中を歩き回っていた
「あれは?」
俺は数メートル先の看板を
痩せ細ったわたあめで指し示した
「………どれですか?」
椎名は指された方角を
いろんな角度で見て看板を探した
俺は少しかがんで
椎名の顔に自分の顔をくっつけるように
目の高さを合わせると
「あれ、あれ」
椎名の目で追えるように
もう一度わたあめで指す
「『ビックリハウス』?」
「何か面白そうじゃね?」
「ん――………いいですよ?
でも、その前に食べちゃわないと」
椎名はそう言って
またわたあめをつまむと
「はい、あーん」
俺の口まで持ってきた
おいおい…………
次から次へと
爆弾投下すんなよ
「ケーキんときの仕返しか?」
「ち、違いますよ!
先輩の手が塞がってるから……」
手を離せば終いの話なのに
その選択肢が椎名の中にないと思うと
どうしようもなく
幸せな気分になった
俺は少し照れながら
大きく口を開ける
けれど
待てど暮らせど
わたあめは一向に
俺の中に入ってこない
椎名さん……
新作の
餌待ちヒナ攻めですか?
「………あのー、椎名センパイ?
口、疲れるんですけど」
「や、やっぱり
自分で食べてください!」
椎名は
顔を真っ赤にしてプイッと外を向くと
俺のためにつまんだわたあめを
パクリと食べた
ふざけんな
「俺のだから返せよ」
俺はブレザーで壁を作ると
歩きながら椎名にキスをして
舌で溶けたわたあめを舐め取った
「甘っ」
「バカっ」
口を押さながら
キッと睨む椎名に
「悔しかったら
取り返してみれば?」
俺はまだ舌に残っている
椎名の唾液を見せびらかした
「……っ!この、サド犬!」
なんだ?サド犬って
土佐犬なら知ってるぞ
つか、お前が悪い
可愛いカノジョに
やられっぱなしなんて
カレシとして
面目なくなるだろ?
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