アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
『桜井』と『金』と『奴等』
-
警視庁公安課所属
『桜井 陸(さくらい りく)』
もちろん、本名ではないだろう
白竜会へ資金援助をしてる
坂崎グループの会長
『坂崎誠一郎』を追い続けるうちに
俺の存在に気づき
接触してきたのが、4年前………
面倒事に関わるのが嫌で
協力を避けていたが…………
今はコイツを
頼るしかねぇ
「六代目と坂崎誠一郎が
接触するっていう情報を
キャッチしたのが1ヶ月前……
でも、当日は流れたようで
尻尾は掴めず……」
「流れたんじゃなくて
情報が漏れたのがバレただけだろ、
お前ら公安は、とことん間抜けだな」
「それを言っちゃあ、おしまいよ?」
桜井は
両手で頬を潰し、タコのように口を尖らせた
「……………………」
マイキーといい、コイツといい
どうして俺の周りには
ふざけてる優秀な奴が集まるのか………
「これは?」
桜井は
俺が用意した資料の山から
クリップした書類の束を取り出した
「坂崎グループの裏帳簿」
「え!?
すご……
こんなのどうやって手に入れたんだ?」
「それを俺に言わすのか?」
「愚問、だったね」
桜井は目を伏せ
しばらく何かを考えてから
書類をペラペラとめくり
目を通していく
「………この、『坂崎建設』の
賞味期限切れの機材が濃厚かな……」
「……だろうな
海外で洗いやすい上に
帳簿から早く消えて金になる
……………………問題は」
「それを『どこ』に
隠し持ってるか……だね」
桜井は腕を組み
険しい顔をした
「最近のマネーロンダリングは
手口が巧妙だからね
あるとわかっていても
手が出せないのが現状……
ただ、ヤツの場合
どこにあるのかすら
公安でも把握できていない………」
「……………………」
公安が嗅ぎ回っても
影すら踏めないとなると
相当、巧妙に隠し持ってやがるな
あのタヌキ……
今さら俺の頭が加わったところで
状況が一変するとも思えねぇが
糸口さえ見つかれば………
―――――ふと、
椎名の優しい笑顔が脳裏に浮かぶ
………………………
椎名に、
ちゃんと俺の過去を
話さなきゃ…………
話せば、もしかしたら
俺の元から去ってしまうかもしれない
失うのが怖くて
今まで言えずにいたけれど
放送室で
坂崎から俺の過去の一部を聞かされても
お前は
俺を問い詰めたりせず
待ってくれた……………
―――椎名…………
お前だけは
どんな手段を使ってでも
俺が必ず…………
「君のボイスレコーダーがあれば
簡単に引っ張れるよ?」
「………葉だけ切り落としても
仕方ないだろ」
「まぁ、ね……………」
「とにかく、
今は些細な情報でも手に入れたい
お前、俺の代わりに中国へ行ってくれ」
「なにか、あてでも?」
「………3日前、
海外向け資金工作の
内部事情に詳しい男が
中国へ入国の手続きをしたらしい
その男から話を聞けば
何か掴めるかもしれない」
俺の言葉に
桜井は目を丸くした
「………君、本当に高校生?
公安に欲しいくらいだよ」
「国家の犬に成り下がるなら
野良犬になって
地べたを這いずり回る方がマシだ」
「ほんと、君って……性格歪んでるよね」
桜井のセリフに
俺は『周防 恭介』を演じて
極上のスマイルを作ってみせた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
187 / 469