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ココアと店員さん 02歩
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僕の言葉に、楢崎さんは嬉しそうに笑って、僕を膝に乗せ、抱き締めた。
「うわ…っ」
ココアをテーブルに置いていてよかった。持っていたら確実に溢してた。
「そうだよ。駅近くのカフェの元店員だよ。ようやく気づいたか」
だからなのか…。
店員さんは大体同じ人…楢崎さんだったと思う。
「だから、いつもココアを作ってくれてたんですか」
前から僕があのカフェで頼むのはココア。
コーヒーは砂糖とかミルクをたっぷり入れないと飲めない。
カフェに来てまでココアを頼むのか、とよく聞かれるんだけど、それはやっぱり自分でいれるココアよりも美味しいから。
「まあな。それと、ココアにはリラックス効果もあるから」
「そうなんですか。…ありがとうございます」
楢崎さんに恐る恐る腕を回した。
「ふっ。可愛いな」
楢崎さんは僕なんかが触っても「汚い」って言わない。変な人だから、むしろ喜んでいる。
「可愛くなんかありません」
「俺にとっては可愛いんだよ」
「…本当に変な人ですね」
抱きしめ合っているから、服越しに温もりを感じる。
体も心も温かい。
この温もりを手放したくない。
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