アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
再会と説明と 2
-
肩を掴まれ、身体が半回転した。
急に抱きしめられ、大量の書類の紙から守られた。
(これって朝の…)
誰かにぶつかって転倒を助けられた時と同じ温もり。
咲は今回は、顔を上げて相手の顔を確かめた。
入学式で生徒会長と呼ばれていた柏原愁だった。
書類の山と咲の間に愁がいた。
床に転んで身を丸めた咲を、愁が引っ張って自分の身体で盾になるように覆い被さり、愁の背中で書類の山の大半を受け止め、残りは咲にぶつからずに背中や足に数枚落ちただけだった。
心配そうな顔で咲に聞いてきた。
「怪我は?」
その声に確信が持てた。
朝に助けてくれた人だと。
そう考えていると、愁の手が咲の頬に触れる。
「大丈夫?」
やっと声が出た。
「大丈夫…です」
そう言うと、愁はほっとした顔になった。
その顔を見て、咲の胸の奥がきゅっと締めつけられた。
嫌な感じではなく、むしろ胸が温かい感じで…。
(…?なんだろう?)
よくわからないのに、恥ずかしい気持ちになって咲はうつむいた。
「ごめんね、危険な目にあわせてしまって。なかなか書類が片付かなくて…」
咲は慌てて首を横に動かした。
「いいえ、お忙しいのはわかってます」
「?」
愁は首をかしげた。
「机の上の飲み物が、飲まれてなかったので…」
咲はさっき見た机の上のコップを話す。
あぁ、と愁は納得した顔をした。
「うん、なかなか温かいのを飲む機会を逃がしてしまって。あと数日でこの書類は、どうにか一段落して落ち着くと思うんだけど」
あまりにもひどい量だよね、と愁は言った。
身体を支えられながら、状態を起こしてもらう。
「ここに座ってもらおうかな」
ソファーに案内された。
「それでね、呼んだのは姫制度についての説明なんだけど…」
「あの!なぜ僕なのですか?」
「うん?」
「僕じゃなくても、って思って」
急に選ばれた理由が知りたかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
10 / 111