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7日目 3
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昨日で姫になることを決めたから、茉莉や颯人には迷惑をかけたな…と、咲は思っていた。
しかし、愁と繋いでいる手を見ると嬉しかった。
(2人共、ごめんなさい!)
心の中で2人に謝った。
「あんまり出歩いていると、他の人達に出会うと囲まれるから…どうしようか?」
ひとまず廊下に出たが20分で帰れる所は無く、行き先がない。
「愁と一番初めに、廊下で一緒に見た桜並木を見たいです」
咲が愁の為に、景色を見せたいと思ったあの日の場所はもう少し先の廊下で、指差しながら咲は言った。
「そこなら、邪魔されないね」
(…2人きり)
そう考えただけで、挙動不審な動きになりそうだった。
繋いだ手が、変に力が入る。
(すごく浮かれているのが、バレちゃうっ!)
咲は何とか歩きながら、気持ちを落ち着かせた。
その場所に着いた。
ふふっと、愁が笑う。
「愁?」
咲が首を傾けた。
(挙動不審だった?!)
さっきから、浮き足立っているのがわかってしまったのか…。
だが、愁は違うことで笑っていた。
「ううん、違うんだ。咲が、俺の名前を呼んでくれるのが嬉しくて」
それで、ようやく咲は気がついた。
「僕…知らない間に、呼び捨てに呼んでいたっ!ごめんなさい!!」
愁に謝った。
「いや、いいよ。付き合っているんだって確認出来て、嬉しい」
そう言ってもらえて嬉しくて、咲は胸が熱くなった。
愁は、自分の右頬に手を当てながら言う。
「夢かと思って、朝に自分の頬をつねった」
「僕もしました!!嘘だったらどうしようと思って」
「一緒の事をしたんだね」
咲は嬉しくなって、愁の腕に寄り添った。
愁は、咲を自分の方に引き寄せる。
「…咲、姫になってして欲しい事があるんだ」
「はい!何ですか?」
「学校行事に姫として、颯人の作った服を着れる?」
学校のシンボルだから、学校行事に姫の仕事をして欲しいと言われた。
「大丈夫です。女性用の服は小さい頃に病弱だったので、風習で着ていたので違和感はないです」
「それでも嫌だったら…」
「嫌じゃないです」
ここは、きっぱり言った。
「せっかくの颯人先輩の服の素晴らしい服が、僕のせいで変に見えてしまわないように頑張ります!」
「それは大丈夫。颯人も、この前の仮縫いで咲の服を作るのを楽しみだと言ってたよ」
愁は咲の服を作っている颯人の状況を、教えてくれた。
どうやら『あれもこれも作りたい!』と考えているらしい。
「颯人の部屋の中を見たら、行事以外にも着れそうな服が何着か出来てたよ」
「そんなにですか?颯人先輩の作る物は好きなので嬉しいです!!」
お互いに笑いあう。
(こんなに、幸せな事ってあるのかなぁ…)
桜並木を2人で見ながら、またこれからもずっと一緒にいたいな、と改めて思った。
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