アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
As there are a lie ~要過去編~
-
気がつけばにぃは高2、俺は小6になっていた。
部活(サッカー)で忙しく、帰って来るのも遅いため、
話す回数も前より断然減り、遊ぶ事なんて全くと言っていいほど無くなった。
だが、にぃのサッカーをしてる姿が好きだったから、
要は我慢していた。仕方の無いことなんだと…
......................................................
そんなある日、いつものように、にぃが部活から帰ってきた。
「ただいまー」
「おかえり!鼎にぃ、」
この日も両親が仕事で居なくていつも通りリビングで
独り、TVを見ていた。
兄が帰ってきた嬉しさにリビングを飛び出し、廊下を駆け足で迎えに行く。
でも、その日のにぃはいつもと違い、
やけに嬉しそうだった。
(いつもなら、疲れたーって言って帰ってくるのに…
何かおかしい…何か、なんか嫌な感じがする…)
気になって仕方がなかったから、俺は
リビングに行き、食事を取っている兄の前の席に座り、
息を吸った。そして思い切って聞いてみた。
「…ねぇ、にぃ今日なんかいい事あったの?」
「…ん?」
にぃは箸で豚のしょうが焼きを摘み、口に運ぼうとしているところだった。その状態のままこちらを上目遣いで見つめてきた。
小さく唾を飲み込む。
兄はその生姜焼きを箸に挟んだまま上半身を起こした。
そして、あの時と変わらない温かく優しい笑顔で答えてくれた。
だけど俺はこの後、後悔した。『好奇心に殺される』とは
まさにこのことだと。
「実は俺、────────」
頭が真っ白になった。
そして、嬉しそうに話す兄を、
ただ呆然として見ていた。
「──…要?」
突然の声に身体をビクつかせる。
「…え、あ、うん…良かった、ね…にぃ」
「あぁ…」
何も良くない…何も嬉しくない
顔が引き攣ってる気がして、指で口元を触る。
「…どうしたんだよ、要…大丈夫か?」
口元に当ててた方の手首を兄に掴まれる…
自分がどんな顔をしてるのか見られた。
今の感情がなんなのか、自分でも理解出来てないのに…
「要…」
しっかり俺の目を覗き込んでくる兄の手を払う。
このままでいたら、俺はきっと兄をぐちゃぐちゃにしてしまう。
「…俺、部屋戻る」
「…か、なめ?」
俺は、悲しげな兄の声を無視して、
逃げるようにリビングを飛び出し、階段を1段飛ばしで上がり、自分の部屋に駆け込んだ。
兄の前で泣きたくなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
14 / 41