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雅について調べているうちに、蓬莱一豊という緊縛師にたどり着いた。名古屋にあるSMバーのサイトで、雅と緊縛ショーをした様子が載せられていた。怪しげな光の中に浮かぶ雅は、東雲氏の芸術的な写真で見るより一層エロティックで、非現実的な存在に見えた。
蓬莱氏について検索すると、自身のサイトを発見して、緊縛体験会を開催するとの情報を見つけた。緊縛を身に付ければ、いつか雅に近づけるのではないか?俺はそう思った。緊縛師になろうだなんて、22年生きてきて初めて思ったが、人生初めて明確に自分の夢というのを抱けた気がして、ものすごく興奮した。
体験会の日にちを確認すると、ちょうど次の日で、場所は名古屋だった(蓬莱氏は名古屋に拠点を置いていると、後々知った)。真面目に行ってた仕事を休んで、新幹線に飛び乗って向かった先は場所は何気ない雑居ビルの一室。
『......きみ、縛られたいの?』
飛び込んだ先には、蓬莱氏と女が10人ほどいたが、男は俺一人だった。
『女性限定とは記載しなかったけど......緊縛、体験したいの?』
困ったように笑う蓬莱氏と、訝しげに見つめる女たちに、俺はたじろいでしまった。普通に考えてそうだ。というか、『縛られたい方云々』と書いてなかったか。でも、それなら縛り方はどこで学べばいいのか。
『俺っ......俺、緊縛師になりたいんです!教えてください!』
俺はその場に土下座する勢いで頭を下げた。
『簡単に言うねぇ。まぁ、俺は弟子は取らない主義だから、他所当たって』
『お願いします、少しでいいから......!』
『少しでどうにかなる世界だと思ってるなら、ますます出直してきな』
『......っ』
『今日は、緊縛体験会、なの。縛られてみたい女の子達の時間がもったいないから、出ていってくれる?あ、男の見学禁止だからさ』
『......出直してきますから、お願いします』
『しつこいね、きみ。だから、弟子は取らないってば』
『雅を......東雲雅を縛りたいんです!』
そう言った俺に一瞬目を見開いた蓬莱氏は、次の瞬間心底おかしいといった様子でクツクツと笑いだした。
『きみも彼に魅入られたくちか......ハハ、いいや、面白いから採用。今日は無理だけど、また明日、ここに連絡くれる?』
そう言うと、蓬莱氏は名刺を一枚俺にくれた。
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