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ほのかに漂うコーヒーの香りで目が覚めた。
「あ、ごめん、起こした?」
声のした方を見れば、台所で今まさに淹れたのだろうコーヒーをすすっている雅がいた。初めの頃は、インスタントなんて、と言っていた雅も、それ以上文句を言うことはなく今では普通に自分でインスタントコーヒーを淹れている。サイフォンを置けるくらいの余裕のある部屋だったら良かったのだけど。
「彰吾もコーヒー飲む?」
マグカップを片手に近づいてくる雅は、俺のシャツを羽織っただけのなんとも悩ましい姿で。カーテンの隙間から射す朝日で照らされた素肌は眩しいほどに美しくて、背景の狭いワンルームがあまりにも不釣り合いだった。
俺の枕元に腰かけて、しなやかな足を交差させる。マグカップに口をつけながら、手櫛をするように俺の頭を撫でてくれるのが気持ち良くて、また瞼が閉じてしまいそうになる。
「コーヒーはまだいらないけど、おはようのチューしてほしいな」
バカかと一蹴されるかと思ったが、クスッと小さく笑ってマグを枕元の棚の上に置くと、チューというには些かエロすぎるキスをしてくれた。
「目、覚めた?」
「やばい、全身目ぇ覚めた」
勢いよく起き上がり、そのまま雅を押し倒した。朝勃ちもあって硬くなった股間をわざと雅のソコに擦り付ければ、一層クスクス笑っている。
「おはようエッチしよ?」
「だめ。今日は俺、予定あるから」
「仕事?」
「まぁ、そんなとこ」
「何それ」
別に、雅を束縛しようと思ってるわけではないけれど、聞いても嫌がらなさそうなので探ってみると、俺の下からするりと抜け出した雅が自分のスマホを俺に見せてきた。
「蓬莱さんから呼び出し」
「蓬莱さん?」
仕事じゃないかと思いつつも、俺に見せてきた画面を見れば、今朝4時過ぎに送られてきたらしいメールに、「今日名古屋に帰ろうかと思ったけど、やっぱり雅くんに会いたくなったから、スウィート取ったよ。彰吾には内緒ね」というメッセージとともにホテルの名前と部屋番号が書かれてあった。
「がっつり私用じゃん......」
「んー、まぁ?」
「っつーか、俺に内緒ってあんのに、見せて良かったの」
「彰吾も行く?」
これはきっと、来いと言うことなのだろう。仕事の話ではないことは間違いない。蓬莱さんは仕事の打合せの場合は名古屋であれ東京であれ、必ずお気に入りの喫茶店ですることが多い。ホテルの、ましてやスウィートなんて、雅と致したいだけに決まっている。それを雅がわかっていないはずがないのは、ニヤニヤした顔からわかる。蓬莱さんとセックスするところを俺に見せつけようという気なのかなんなのかは分からないが......少なくとも、俺に拒否権はないし、蓬莱さんに絞められるのも間違いない。
「はいはい、お供しますよ、女王様」
俺の答えに満足そうに笑うと、雅は再び優雅にコーヒーをすすった。
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