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お風呂は好きなようで
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「よし、そろそろ出るか」
最後は翠と10を数えてから風呂を出た。
バスタオルで体を拭き、俺は先に着替えて
翠が風邪を引かないよう手速く手当てを済ませる。
相変わらず翠には俺の服を着てもらった。
あとは、髪乾かすだけかな。
俺は引き出しの中から
ドライアーを取り出す。
「翠、髪乾かすからおいで」
翠は頷き、俺の足の上に
置物のようにちょこんと座った。
翠の素直さに思わず口が緩む。
ドライアーのスイッチを入れ、
風量、温度を確かめてから翠の柔らかい髪を
乾かし始めた。ドライアーが気持良いから
振っているのか腹にヒラヒラ当たる尻尾が
くすぐったい。
風呂に入る前の翠の髪は血が滲んでしまって
暗い色をしていたが、翠の本来の髪色は
薄黄土色をしており可愛らしかった。
「翠の髪って綺麗な色してるよな」
そう言うと翠は首を振った。
「俺…えいとさんみたいな、髪じゃない…」
翠の声があからさまに落ち込む。
いや、俺みたいな焦げ茶色よりよっぽど良いだろ。
「俺はその髪好きだな」
「この髪…好き?」
「うん」
「なら、俺も…好き」
「なんだそれ」
俺はふっと笑う。そして髪を乾かし終え、
ドライアーをまた引き出しに戻す。
脱衣場から出てリビングに向かおうをすると
翠の足が止まり後ろを振り返る。
「ん、どうした?」
何か忘れ物でもしたのろうか。いや、翠は
何も持っていないからないはずなのだけれど。
「次…お風呂、入る…いつ?」
俺をじっと見つめ返事をまだかまだかと待っている。
「風呂今入ったばっかりだろ?
どうしてもって言うなら夜になるけど」
「うん、夜…楽しみ」
翠は何回風呂に入れば気が済むのだろうか。
翠なら俺が許す限り永遠に入りそうだな。
まぁ、それだけ風呂が大好きになったってことは
嬉しいことだ。多分、あの施設ではこうやって
好きなものはあっても何もしてくれなかった
だろうから…
そんなこんなで、俺と翠でまた
夜に風呂に入ることになった。
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