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#5
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「はぁ、終了…ん?俺どこ行きゃいいの?」
近場に遭ったベッドっぽいものに腰を下ろすと、普通に硬くて痛かった。
「あ、ありがとう、ござ、ます。ぇ、ぇと、僕、僕は、ぇと」
「分かんない?」
「ぁ、ぅ…は、ぃ」
「ならそう言えっつの。んじゃ」
とりあえずあのスーツの人探してみるか。
多分偉い人だし、上の方とかに居る、ん?
「…何?」
振り返ると、リコが服の裾を弱々しく摘まんで俯いていた。
「ぁ、と、ぇと、その、な、なま、え、何です、か」
「舐めろ?」
「ぇ、あっ、ち、違いますっ、僕、ぇと、ぇと、な、名前を、ぇと」
「シセル」
リコが顔を上げる。
俺はその時、初めてリコの笑顔を見た。
「しする、ですね」
「し、せ、る」
「しえる?」
リコの髪の毛を掴んで、耳元で怒鳴った。
「し!せ!る!」
「ぁ、ふ…し、せる、さん。シセル、さん」
「そう、シセル。次間違えたら怒る。って事で、じゃ」
これ以上時間をかけていたら流石に文句を言われそうだったので、俺は振り返らずに少し急ぎ足で部屋を出た。
だから、残されたリコが何度も「シセル…ふふ、シセル、シセル、シセル」と呟いていた事に、気付くことは無かった。
「——おいおい、おせぇよ。しっかりしてくれシセルクーン?」
「あ、すいません。どこ行けばいいか分かんなくて、ちょっと探してました」
「あん?あぁ、そういや言って無かったか。悪い悪い」
最上階ーと言っても三階しかないがーで、安っぽい長机を挟んで立つ。
「言って無かったついでに思い出したけどよ、俺の自己紹介もまだだったよな」
「そうですね。まだ何も」
「俺はここの社長。名前は、まぁいいか、社長って呼べ」
「はい」
「で、お前の仕事だけどな、基本的には受付、必要な時はさっきみたいに後始末。とりあえずはそんなもんだな」
掃除、とか言われるかと思っていたので、この待遇は正直意外だった。
そしてそれが顔に出ていたのか、社長が鋭く言葉を付け加える。
「顔だよ顔。やっぱり受付っつってもみてくれが良い方が良いからな」
「はぁ、そうですか」
「ま、別にお前にだけさせるつもりじゃねぇけど。俺からの話は以上だ、何か質問は?」
「特に…あ、すいません二つ良いですか?」
「おう」
「シャワー室なんですけど、あれ、お湯出るようになりません?」
「…あ?」
柔和な笑みを浮かべていた社長の表情に、一瞬にして殺意が籠る。
「てめぇもしかして、情が湧いたとか言わねぇよな?
何のためにテストしたと思ってんだ?あ?」
完全に勘違いをさせてしまったと、その時初めて気づいた。
「あ、そうじゃなくて、えと、俺が、冷たくて」
「…ちっ、言い方気を付けろや。我慢しろ、その位」
「です、よね」
「んで?もう一つってのは?」
タオルを置いてほしい。
と言おうと思っていたが、同じ轍を踏みそうだったので急遽変更する。
「シャワー室の、掃除しても良いですか?」
「またシャワーし、あん?掃除?」
「めっちゃ汚くて、あれ汚れ取れてる気しないんで」
「掃除なぁ…まぁ、別に仕事に支障出さなきゃ問題ねぇ。ってかさせるか?」
「へ?誰にですか?」
「商品共に」
商品…あぁ、そう言う事。
「あの子以外にもいるんですか?」
「他の店に比べっと少ねぇがな。合わせて三人だ」
中々魅力的な提案ではある…でもなぁ。
「中途半端にされるのも嫌なんで、やっぱり自分でしますよ」
大体リコしか知らないけど、綺麗って言う概念が多分俺よりも劣ってると思うし。
「…ま、好きにしろや。今日は暇やるから、あれだったら今日の内に済ませりゃいい」
「そうします。じゃあ、失礼します」
「おう」
そうして、俺はもう一度シャワー室へと向かった。
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