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きっかけは本 (ヘタレ美形×平凡)
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「雅義(まさよし)今日カラオケいかね?」
帰りのHRが終わり、部活のない帰宅部の俺らはいつも家に直行か遊びにいく。
だけど今日の俺は違う。
「わり、今日図書委員あるから」
サボりたい気持ちを抑え、友人の誘いを断った。
くそ。俺なんで図書委員になったんだ。
週に一回だけだけど、その一回が辛い。
あーー号令係にもなればよかった。
職員室から鍵をとって最上階の4階にある図書室に向かう。
1番奥にあるし、薄暗いし、こんな図書室なんていきたくなくなるわ。
そもそも図書室にくるやつなんて指で数えられるくらいだしさ、図書委員なんていらねーじゃん。
脳内で愚痴を零しながら扉の鍵を差し込む。
ガチャっと鉄同士のぶつかり合う音がなり、扉が開く。
ぶわっと本の匂いが漂う。
半年くらい続けてもこの匂いあんま好きになれないなあ。
カウンターのイスに座り携帯をいじる。
図書委員なんて名前だけ。誰かが本を返してくるとき以外仕事はなにもない。
はーっ退屈すぎる。
本を返してくる人、本を探してる人、テーブルで読む人、
今日も指で数えられる人数だな。
あくびをしながらまた携帯をいじると、いつのまにか図書室を閉める時間になっていた、
人が残ってないか忘れ物はないか見回って、鍵を取ろうとした。
すると
「すみません!!!!」
廊下でダダダダっと走る音が聞こえたと思えば、そいつは図書室にやってきた。
振り返るとそこには、
全校生徒は知ってるんじゃないかと思うくらい同じ学年の有名な下川(しもかわ)だった。
「あ、あの、本…返したいんですけど」
おずおずと部屋に入って一冊の本をみせてきた。
へぇ、下川って本読むんだ。
下川は美形で頭もよく性格もよく運動神経もよく、サッカー部のエースで完璧なやつだ。
そんなやつが薄暗い図書室にくるなんて予想外。ずっとキラキラして場所にいるのかと思ってた。
「いいよ、こっちに持ってきて」
再びカウンターに戻りパソコンを起動させる。
「あの、すみません。もう閉まる時間なのに…」
「平気平気。すぐ終わるし」
下川と話すの初めてだ。同じ学年だよな?
なんか敬語使ってる…ま、いっか。
起動させてる間、下川をちら見してみた。
うわーー…こんな間近でみれるとは。ほんと美形だな。こりゃ女の子はほっとけないね。
てか、なんかそわそわしてる?
目を泳がせたり、キョロキョロしたり、どしたんだろ。
そう思ってると声をかけてきた。
「え、えと、毎週ここにい、いるんですか?」
「え?あ、うん。木曜日の担当なんだ」
「いつも、1人で?」
「基本当番は1人ずつだしね。」
「へ、へぇ」
…沈黙。
まあ、そりゃそーなるわな。初対面だし。
ようやくパソコンが開き本のバーコードにバーコードスキャナを当てた。
あれ?豊田って出てる。これ借りたの下川じゃなくね?
「あ、そっ、れ友達が借りたんです」
「だよね、びっくりした」
友達が借りた本を返しにくるなんて、どんだけ優しいの。モテるわー。
本が返されたことを確認し、そろそろ図書室を閉めるか。
「もう確認したから行っていいよ」
「…。」
「?」
あれ?無視?
それとも聞こえてない?
「下川?」
「っ!」
名前を読んだ途端下川は明らかにびくっとなった。
訳がわからず首を傾げてると、下川は真っ赤になって突然と両手を握られた。
「っ俺、毎週来ます!!!」
そんなことを叫んだ下川は部屋を出て全力疾走で廊下を走った。
俺はこれに呆然することしかできなかった。
その後毎週下川が来るようになり
自分が下川を意識し始めるやら、下川に告白されることになるなんて
その時の俺は知らなかった。
END
*
なんか無駄に長いなw
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