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「なんで...来た、の?」
「いや、あの...李斗にあっ弟に聞いてた」
李斗くんから聞いたんだ...そう思っていたら羽山くんは靴を脱ぎ捨て、1人でリビングに入っていった。
あとを追いかけて行くと
お粥の後ろの方に袋の中身を出し始めた。
「色々買ってきたのいいんだけど、どれがいいんだかわかんなくて...」
頭痛薬、解熱剤、熱冷ましシートや水まくら...
「あと喉通しやすいものいいかなと思って食い物も買ってきた」
ゼリー、ヨーグルト、うどん、寒天...
いつも冷静な羽山くんが少し焦って困っている様子を初めて俺は見た。
「まぁザッとこんなもんか...これで少し、有沢?」
これも表だけなんだろうなと思った途端に涙があふれ出た。
「有沢、どこか痛いのか?」
羽山くんは益々困った表情を浮かべ俺に近寄ってきた。
それに対して俺は首を横に振ることしかできなくて
「あっ...そういえば、ごめん。勝手に来といて、もう俺らに会うつもりなかっただろうに」
違う...でもなかなか言え出せなくて、
「でも有沢?1つだけ分かって欲しい」
羽山くんは俺の肩に手を置いて優しく言った。
「俺も屋久土も紫音もお前が俺らを裏切ったなんて思ってない。表上だけ仲良くしてたんじゃない、有沢の事は本当に大切な奴だって思ってる」
「羽山く...ん」
「だから、言い訳じゃないんだけど...俺はお前を嫌いになんてならないから」
強く言って抱きしめられた。
「有沢...傷つけてごめん。本当にごめんな?」
優しい羽山くんの声に益々涙が止まらなくなって
羽山くんは焦って僕を身体からはなした。
「ごめん...やっぱり信じられないか?」
「違っ...安心、した...の、僕、っ嫌わ、れたと......思って、た......から」
「嫌いになんてならないよ?俺だけじゃない。紫音も屋久土も...だからもうお前は1人じゃない。俺らがいるから、な?」
いつからこんなに涙腺が弱くなったのか、いくら止めようとしても止められなくて挙げ句の果てに声をあげて子どもみたいに泣いてしまった。
それにはさすがの羽山くんも小さく笑って、僕が泣き止むまで抱きしめてくれた。
そのあと落ち着いた頃に羽山くんが買ってきてくれた。ゼリーとか寒天を2人で分けて食べた。
色々話して誤解が解けて...仲が深まった。
「あっそうだ。有沢?有沢が良ければだけど、距離近くなるためにも下の名前で呼び合わないか?」
「えっ、僕...呼んでいいの?」
「当たり前だ!いいか?」
「う、ん...!」
「じゃー、これからも仲良くしような優」
「こ、こちらこそよろしく、ね...えと、龍...翔くん」
なんか新鮮でくすぐったくて、でも1番に仲良くなった人とこうやって呼び合えて少し嬉しかった。
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