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「なに?」
突き刺さるような隣からの視線に目線だけ向けて問いかければ、そいつはサッと顔をそらしてしまう。
さっきの数学も、その前の古典もそうだ。
まるで「なんでここにいるの?」とでも言いたそうな顔で俺を見る。
いちゃ悪いのかよ…と心の中で毒を吐きつつ、俺は机の上に出した教科書に手を伸ばした。
「兎丸君って…」
顔をそらしたはずの隣のやつが俺に話しかける。
けれどこちらを見ているはずの目は、明後日の方向を向いており、何がしたいのかわからない。
「俺がなに?」
「いや…その、つけてる香水って何?」
「……は?」
え、話したこと無いのになんでそんな事聞くの?
もっと他に話す事ねぇの?俺の頭の中に疑問が浮かぶ。
するとそいつは照れたように早口で言った。
「それ、リカちゃん先生と似てるだろ?俺もそれ付けたいなぁって」
似てるも何も一緒だからな。そうとも言えず、けれど何て答えていいかわからない俺は
「なんで?」
気づけばそう答えていた。
隣の名前も知らないヤツの顔が赤く染まる。
あぁ…こいつ、リカちゃんの事好きなのか。
わかりやすいその態度に俺は心に広がるのはモヤモヤした黒い気持ち。
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