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「なぁ。歩はさ、桃ちゃんと会いたくて仕方ない…みたいになんねぇの?」
「会いたくて仕方ない……ねぇ」
少し考える素振りを見せ、タバコに火を点ける。
リカちゃんと同じ匂いが俺を切なくさせた。
「なんねぇな。俺が思う前にあの人が来るから」
その言葉に2人の力関係がよくわかった。
やっぱり歩はリカちゃんの弟だ。
「お前それは桃ちゃんが可哀想だろ」
「慧はわかってねぇなぁ」
吐き出した紫煙は上へと昇り、空気に混じって消える。
「こういうのは待ってる方のが辛いんだって」
「そういうもんか?」
「そうなの。もしかしたら途中で他のやつ見つけるかもしんねぇだろ?選ばれる方は常にビクビクすんだよ」
そう言う歩からは一切そんな様子は見られないけどな。
いつも冷静で余裕な歩のままだ。
「追いかけてる方が幸せ……ってのは、あいつ見てると思う。あんだけ尽くしててマジ報われねぇよな」
「誰の話してんの?」
桃ちゃんと歩の話だったはずが、いつの間にやら意味のわからない話に変わっていた。
歩の呆れた視線が俺に向く。
「本っ当にお前は甘やかされすぎ。兄貴に感謝しろよ」
「出たブラコン。っつーか甘やかされてねぇわ」
普段の…もちろんベッドの上でもリカちゃんは意地悪で甘やかされてなんかない。
たまに優しくしてくれるけど基本は俺を苛めてばっかりだ。
「お前はさ、もうちょっと自分で考えた方がいい。
そのままじゃ兄貴に愛想尽かされても知らねぇから」
「なんだよそれ……。歩に何がわかんだよ」
「少なくともお前よりは見えてる。ちゃんと見てねぇと気付いた時には手遅れになるんだからな」
まるで俺が悪いみたいに言われてイライラした。
ワケわかんねぇことばっか好き勝手言われて、なんで責められなきゃなんねぇの?
グッと目の前の男を睨めば、澄ました顔で見下される。
ピリピリしたムードに悪くなっていく雰囲気……。
「んあぁぁぁ!!!シャーペンだと思ってたらボールペンだった!」
それを打ち破るのは空気を読まない拓海の大声だ。
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