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「貸せ。お前が触ってると変態が移る」
歩がリカちゃんから男の子を奪い取る。黒から金に変わった髪に男の子の興味が歩に移った。
「ん?髪……あぁ、一緒だな」
「はぁ?!」
歩から出た言葉に俺だけが反応する。
小さい金髪とデカい金髪が揃って俺を見た。
「なんだよ」
「なんだよって…なんで英語わかんの?!」
あの歩が。1年の頃はサボって寝ててテストでは毎回平均点ギリ、もしくは赤点だった歩が本場の英語を聞き取ったなんて!!
ありえない状況に驚きが隠せない。
「なんでって…これぐらい誰でもわかって当然だろ。お前何年英語勉強してきてんの?」
「いや、それお前が言うセリフじゃねぇから」
「悪いけど俺、お前より頭いいからな」
自分のこめかみを指でツンツンして偉そうに歩が言った。
俺と歩の成績はたいして変わらない。いつも同じような点数で同じような順位だったはず。
何を調子乗ったこと言ってるんだと歩を見る。それに答えてくれるのは、今まで黙って見ていたリカちゃんだ。
「歩は最近の小テストいつも90点以上だから。今なら平均点どころじゃなくクラストップ目指せるかもな」
「ふん…クラスじゃなくて学年トップ目指すけどな」
「それは言い過ぎ。今までの土台が脆いから基礎を固めてから言えよ」
歩がいつも勉強してるのは知ってた。夏休みもバイトの合間をみては勉強し、最近ではリカちゃんや桃ちゃんに教えてもらってるのも聞いてた。
だからってこんなに短時間で成果が出るのか?それなら今まで苦労してたガリ勉はどうする。
「頑張ってるのもあるけど…まあアレだな」
「アレだろうな」
兄の言葉に弟が頷く。2人にしかわからないアレ。
兄弟だからこそ通じるアレという単語。
「アレってなんだよ!俺にもわかるように言えよ!!」
歩がリカちゃんを見れば、リカちゃんは「お前から教えてやれよ」と笑う。しかもいい笑顔じゃない。
偉そうで何様だよってぐらいゲスな笑い顔だ。
「アレってのは決まってるだろ」
「だからソレが何だって聞いてんの」
アレで通じねぇから聞いてるのに歩はなんでわからないのか不思議そう。
俺からしたらなんでわかると思ってるのか不思議だ。
不思議な俺に不思議な歩が言う。すげぇ自信満々で当たり前のことのように。
「そんなの生まれ持った才能に決まってんじゃん。兄貴が出来るんだから俺に出来ないワケねぇ」
ドヤ顔で言った弟に、その兄がすかさずツッコミを入れる。
「そうそう…って、お前それ俺をバカにしてるだろ」
「バカにしてねぇよ。変態で性悪だとは思ってるけどな」
「今は関係ない悪口言うな」
この兄弟は仲がいいのか悪いのかわかんねぇ。
低いテンションで言い合ってる2人を忘れ去られていた男の子は興味ありげに眺めていて。
今すぐ誰か助けてくんねぇかなって願った。
その願いは叶った……んだけど。
「俺、拓海!!アー ユー ネーム?」
「それなら君は名前ですか?になるだろ。バカかお前」
「あ!そうか! ネーム プリーズ!!!」
そこで助けに加わったのがバカな鳥だったのが問題だ。
大声で笑いながら日本語で話しかける拓海とそれに英語で答える男の子。絶対に会話はできてないはずなのに、なぜか2人は通じあっているように見えた。
ここまでくると拓海のコレは才能だと思う。
俺には全く懐かなかった子が拓海には笑顔なんだから。
リカちゃんとはスラスラと英語で話し、歩ともまぁなんとか会話してて。そして拓海とはすげぇ楽しそうな男の子。
それがちょっとだけ寂しい…のは悔しいから絶対に言わない。
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