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「やっぱり何もわかってない」
俺の言葉途中でリカちゃんは遮る。
「ちゃんと考えろ。しっかり自分で考えてからまた来い」
「なんっ…で。これが俺の気持ちだって言ってんじゃん。俺はリカちゃんと一緒にいれたら満足なんだよ!」
「それは違う!!」
リカちゃんが声を荒らげるのは珍しい。いきなりの大声に驚いた俺に、少し気まずそうなリカちゃんが前髪をかき上げた。
「やっぱり俺たちは離れた方がいい」
「何が不満なのかわかんねぇ!!」
「もっと自分を大切にしろって言ってんだよ。お前のことはお前が決めるしかないんだ。
嫌でも向き合わなきゃいけない時が来る。それが今なんだよ」
だから俺は自分なりに考えて言ってんじゃねぇかよ!!それを聞いてくれないのはそっちだ。
どんなに話しても、ちゃんと考えろを繰り返すばっかりで意味わかんない。
ちゃんとって何?それが正しいって誰が知ってんの?
俺のことなんだから俺が決めたのが答えだろ。なんでそれをリカちゃんに違うって言われんの?
俺は間違ってないのに否定されてイライラする。もう頭の中がぐちゃぐちゃで、何て言っていいかわからない。
どうしたらリカちゃんに伝わるのか、言葉が見つからない。
「とにかくお前は自分のすべきことをしろ」
「絶対にあの女には会わないから」
「せっかく会えるんだから意地張るなって」
「会うか会わないかは俺の勝手じゃねぇかよ!お前に関係ない!!」
思わず叫んでしまい慌てて口を押さえる。そんなことをしても出してしまった言葉は戻らない。
「ほら。都合が悪くなったらそれだ。調子いい時だけ俺を使って俺を逃げる理由にするな」
「俺は別に逃げてなんかない」
逃げてないはずなのにリカちゃんを真っ直ぐに見れない。フローリングの節目を見つめる俺にリカちゃんは新しいタバコに火を点けて言う。
「逃げてるよ。お前は俺を選んでおけばいいって無意識に思ってる」
「違う!!」
「なぁ。俺はいつまで選ばれなきゃなんねぇの?
お前は自分の残酷さを知るべきだ」
立ち上がったリカちゃんが廊下へと続く扉を開ける。頑なに動かない俺に追い打ちをかけた。
「悪いけど1人にしてほしい。本当に疲れたんだよ」
小さくて低い声。マジでそう思ってるんだって伝わってくる空気が苦しくて、どうにも出来ない俺は逃げるように部屋を出た。
まだなんとかなる、きっとすぐに元に戻れる。
だから少しの間だけ我慢したらいい。
俺の気持ちはやっぱり変わらないからリカちゃんの機嫌が直るのを待てばいい。
そう思ってるのに、なぜか震えが止まらない。
誰か答えを教えてほしい。
俺は本当に正しいんだろうか?
いつもリカちゃんを選んできた俺は本当に正しかったんだろうか?
今までずっとリカちゃんが答えをくれて、どんな時もリカちゃんがなんとかしてくれた。それをいきなり自分でって言われてもどうにもできない。
「やだ……離れるなんて嫌だ」
今の俺にできるのは嫌だと言い続けることだけだ。
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