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目が覚めたのはおそらく真夜中。
布団に自分の熱がこもって暑いくらいだ。汗かいてるし、着替えないと。
起き上がって見渡すと、自分の部屋じゃない事にまず驚いた。てっきり自分のベッドで寝てるもんだと思ってたのに。
きっとここはあいつの部屋だ。
俺部屋間違えちゃったのかな・・・見つかったら怒られるだろうな。
額には濡れタオルが置いてあった。というか、起き上がって額から落ちてから気づいた。びちゃっ!て。
側にあるテーブルには、水入ってるコップと洗面器。
一体誰がこんなこと。
ベッドから降りて、音を立てないように部屋を出た。廊下の冷たい空気が、体の熱を奪ってく。
身震いしながらリビングの扉を開けると、かすかに美味しそうな匂いがした。
キッチンも使われた後だし、食器は洗わずに置いてある。
換気扇を消すと部屋から音がなくなって、少しだけ心細くなった。
そうだ、テレビ付けよ。今の時間ならテレビショッピングでもやってるだろ。
リモコンはどこだっけ。いつもテーブルの上に置いてるんだけど・・・・・・
・・・・・・あ、あれ
ソファーの背もたれから、あ、あしが、足が見える
俺以外誰もいないはずなのに!
どどどどうしようすごく怖いんだけどっ、もしかして・・・泥棒、とか?
結局、怖くても見てしまうのが人間で。おそるおそる、背もたれの向こうを覗いてみた。
「・・・お、鬼塚・・・?」
ソファーの上、クッションを枕にして寝てる鬼塚がいて、
見た瞬間心臓が跳ね上がって、それから鼓動が速くなる。
・・・どうしよ、近づいてもいいのかな。
寝息が聞こえるくらいまで、そっと近寄った。
心臓の音が指先まで伝わって、小刻みに震えてるのをぎゅっと握りしめて。
「・・・お、にづか、」
・・・あ、
まつ毛長い。
整った顔。シルバーのピアス、金色のメッシュ。
ごつごつした手。
この手で頬を撫でられたら、俺動けなくなっちゃうんだよな。
あったかくて大きくて、触れられると息をすることさえ忘れてしまう。
俺、こんなに近くにいるのにな。
心は全然近づけてない。
それどころか突き放されてるようで、どうしようもない寂しさだけ残る。
ソファーの前に座って、鬼塚に当たらないように顔をうつ伏せた。
触りたい。触ってほしい。
ずっとこのまま寝てくれたらいいのに。
ごつごつした指に、そっと触れて、握った。
小指。小指だけでもいいから、今は繋がっててよ。
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