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怖い人
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「好き」って感情は、俺にとって人生で一番無駄なものだった。
そんなものが一体何のためになんだよ。いつか無くなってしまうものに費やする時間に意味があるとは思えない。
だから、俺は毎回俺のことを好きにならない女を選ぶようにしてる。後々めんどくさいことになるのは避けたい。
一夜限りの関係でもしつこくつきまとってくる奴はいるが、そのうち他の男のとこにいくだろ。
そうでなければ無理矢理にでも突き放す。相手が傷つこうが知ったことか。
⋯と、最近までは思っていた。
次の日には忘れてるはずの感情。
腕に抱かれた体温、震える身体、か弱い声。
俺の名前を呼んで泣いた。
ぽろぽろと限りなく流れ落ちる涙を目の前にして、体が勝手に動いてしまった。
思い通りにならない。こいつだけは。
大きくなる泣き声をどうやっても止められなかった。
「俺の気持ちなんて考えもしないで」って、「お前なんか大ッ嫌いだ」って、何度も頭をリピートするあいつの声。今更他人にどう思われようがなんとも思わなかったのにな。
そもそも「俺の気持ち」って何だ?あいつが何をどう思ってるか、それがわかったら少しは変わんのか。
収まりつかないこの感情も。
「りゅーうくーんなにぼーっとしてんのぉ」
「消えろ」
「えっ」
賛田はあれからなにも言ってこない。前と変わらず接してくる。
仕掛けに「お前何考えてんのかわかんねぇ野郎だな」って言うと、「そう?割と単純やで。」と答えた。
そうだな。あの写真付きメールはバカでもわかる単純な嫌がらせだったしな。
「まきまき揺らいでんなぁ」
「あ?」
「いらんようになったら俺にチョーダイな」
「なんねぇよ馬鹿が。」
「⋯えっ」
「は?」
少なくとも、俺の心の中のもやもやが晴れるまで現状が変わることはない。
あぁ、それが解決したらもう用無しか。
「そんなに欲しいか」
「うん。めちゃめちゃに欲しいね。」
「理由言ってみろ」
「はーん?なんやそれそれでも男か。」
⋯男とか関係ねぇだろ。
「まきまきってなんかおもろない?いじめがいあるやんかァ」
蹴り飛ばしたい。
ケタケタ笑うな俺がそういうふざけた話し方をされたら不機嫌になんのわかっててやってんだろ。
「現にりゅーくんはまきまきのこといじめまくってるやん。」
「なんだそれ」
「まきまき意外と傷つきやすいからな?俺みたいな癒し系アイドルが定期的に支えてあげないと♡」
⋯⋯。
「⋯⋯あぁ。そうだな。」
「沈黙ヤメテ!!どうせ今「癒し系アイドルじゃなくてムカつき系クズドルだろ⋯」とか思ったやろ!!」
「わかってんなら止めろクズドル」
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