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上半身に広がる、いくつもの痕。
何が起こっているのか分からないまま、指で痕をなぞった。
左手首にも、強く吸われた痕があるのに気づく。
血の色を通り越して、紫色になっていたそこをまた、指でなぞる。
そこで浮かぶ疑問はひとつしかない。
これ、全部鬼塚がやった⋯?
色や数からして虫刺されじゃないのは確か。
昨日のはやっぱり夢じゃなくて現実で、あの後、ベッドに押し倒された後、シャツ脱がされて身体中に口付けされたってこと⋯?
想像して、体の内側からふつふつと熱が湧き上がってくる。こんな、「自分のものだ」と言わんばかりに沢山、目に見える形で、こんなこと⋯
⋯考えただけでも頭がおかしくなりそうだ。
両手でばちん!と勢いをつけて頬を挟み、どうにか思考をストップさせる。
ダメだダメだこんなことばっか考えてちゃ。昨日のあれに、どうしてこんなことしたのかだとか意味を求めたら終わりだ。
今日は学校。
早く支度しないと。それにしてもこの痕シャツで隠せるのかな。ネクタイをギチギチに縛ったらギリ見えないかも。
なんとか切り替えて、家を出たけど頭の中はやっぱりまだほわほわしたままで。
鬼塚、今日は学校来てるのかなとか、帰ってくるのかなとか、どういう顔してればいいのかとかそんなことばっかり考えてしまう。
外は寒くて、手なんか震えるほど寒いのに顔だけはじんわりした熱を帯びていて。
頬に手を当てると、熱が出た時のように熱くて。
校門の手前で慎太郎に抱きつかれるまでは、ずっと昨日のことばっか思い出してはまた熱くなってた。
「まきちゃーーーーんおはよう!!好き!!」
「⋯はよ」
「可愛い!!」
そうだ慎太郎その調子だ。そのウザイくらいのテンションで昨日のことなんか思い出せないくらい俺をイライラさせてくれ。
「あれ?まきちゃん耳まで真っ赤だよ?今日そんなに寒いっけ」
「髪の毛まで真っ赤なお前に言われたくない」
「えっそんなに!?そんなに俺の髪赤くてかっこいい!!?」
こいつまるで日本語通じねぇ。
慎太郎の話を右から左に受け流しつつ教室に入り、机に鞄を下ろす。
ふーっと一息ついて席に着こうとしたその時。
「まきちゃん、ネクタイ苦しくない?」
「へ、」
「絞めすぎじゃない?ほら、俺なんてネクタイしてないよ?もう少しゆるめたら?」
「わっ、ちょっ!」
慎太郎の手が、俺の首元に伸びる。
咄嗟に後ろへ飛び退いてしまって、驚き固まる慎太郎。
どうしよ、なんか言って誤魔化さないと、今のめちゃくちゃ不自然だった。
「あ⋯ぅ⋯、」
どうする、なんて言えばいい⋯
「しっ⋯⋯
⋯慎太郎の、えっち⋯」
普通の、そこら辺にいる男子高校生のノリで言ったつもりだったんだけど慣れて無さすぎて少し恥が混じってしまった。
ちら、と慎太郎に目を向けると、顔を真っ赤にして、更には朝俺に言ったように耳まで真っ赤にさせて口をパクパクしていた。
体は止まったまま。
「あの、慎太郎さん⋯」
「⋯⋯⋯グフッ」
「えっちょっと待ってお前鼻血っ」
「ダメ俺死ぬ⋯⋯」
ボタボタっと血を流した慎太郎は、俺にタンマと言わんばかりに掌を向ける。
「慎太郎、あの、そろそろ出血が⋯」
「だめ!!!まきちゃん今俺に近づいたらダメだよ慎太郎の慎太郎が爆発するから!!!まずはトイレに!!イかせてください!!!」
慎太郎は、俺の返事を聞くまもなくダッシュで教室を出ていった。
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