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「ごっ・・・ご馳走様でした」
完食した。
あの量ならいつもは普通に食べ切れるのに気持ち悪いくらいの満腹感。お腹も頭もいっぱいいっぱいです。
食べ終わった俺を見て鬼塚は立ち上がり、皿とフォークを持って台所へと向かう。
一体何があってこんなことになっているのか。起きてから何も状況を把握出来ていないんだが何なんだろうこれ。夢かな。
スパゲティと言えば鬼塚とこの前行ったファミレスを思い出す。そういえばあの時俺が食べたのもナポリタンだったような。
そして食べてる途中に口の端に着いてたの指摘されて・・・
「・・・まき」
「・・・なっ、に?ですか!?」
「顔が赤ぇ。熱あんじゃねえのか。」
「なっ、ない!!無いです断じて」
口の周りをこれでもかという程念入りにティッシュで拭いた。
心を落ち着かせるために暖かいお茶でも入れようかと立ち上がり、キッチンへ向かう。
ところがそこには俺の食べ終わった皿を洗ってる鬼塚が居て、お湯を沸かすためのヤカンも、茶葉もマグカップも全て鬼塚の周辺にある。
てか何で俺が食べたものの後片付けしてるんだろう逆に怖い。
「見すぎ。」
「あっ、ごめ・・・」
ノールックで言われた。皿洗いの邪魔でしたか。
「何。」
「あ、えと・・・お茶を沸かしたくてですね・・・」
「もう終わるから待ってろ。」
大人しく待つ俺。
皿を洗い終わるまでの一挙一動を終始見ていたが、なんというか、こういうの出来なさそうなのに手馴れた所作でやってのけるギャップ。こういう所も女の子にモテる理由だったりするのかな。
呑気に眺めてると、鬼塚があろう事か戸棚からヤカンと茶葉を取り出し始めた。
「えっ!いやいや自分でするから!!」
騒ぎ出す俺を無視してさっさとお湯を沸かす鬼塚。なんだろう、これは、自分でやった方が早いから的なアレだろうか。周りをうろちょろされるのが嫌とかそういうあれ的なアレか。
沸いた熱湯を俺のお気に入りのマグカップに注ぎ、茶葉を入れて渡される。しまいには「零すなよ。」とまで言われる始末。
前回鬼塚のコーヒー入ったカップを落として割った前例がある為なんとも言えないが、らしくない過保護な発言に戸惑いを隠せない。
大人しくテレビの前のソファーに座って、ふーふーしながら飲もうと思った時。どすん、と、当然のように俺の真横に座る鬼塚。
いや、そりゃ自分の家で自分ちのソファーなんだから当然も何も座るのは普通のことだけど。何も今座る?しかもゼロ距離で。
もう何が何だかわからないし動揺と未知なる恐怖で手が震えてくるし心臓もバックバクなんだが。
こんな不可解な状況とは似合わぬ、朝らしいことりの鳴き声というBGMがお茶の間に響いている。俺はあつあつのマグカップをテーブルに置き、とりあえず一息ついた。
「・・・ね、ねぇ鬼塚」
「あ?」
「お茶・・・っ、ありがとう。ナポリタンも。」
「あぁ。」
違う!!!いや違くはないか!!!
駄目だもう顔が見れない近い熱い逃げたい何これ。普通に、こんな、日常のごく一部かのように平然と近くに居られると困るんですがね何分慣れていないもので。
鬼塚はいつも通り無表情で、背もたれに体を倒し俺の腰に手を回した。
お、俺の腰に手を回し・・・
「ひっ!なっ、何!?」
「何がだよ」
必死に手を払う俺。ここら辺でもうキャパシティが限界を超える。
「ちょ、触るのだめ!禁止!!」
「何で?」
「なっ、何で!?」
何でってなんだ!?俺普通のこと言ってるよな・・・!?これが普通の、一般人の反応だよな・・・!?
「はっ、恥ずかしい、から・・・急にこういうのされるの、困る・・・」
「へぇ。」
へぇ。じゃない!!
「急じゃなきゃいいんだな。」
ふぅん・・・と後に続けるように納得する鬼塚。嫌な予感しかしない。というか俺はそんなこと一言も言ってない。
俺の後ろの背もたれに腕を掛け、リラックスしている鬼塚を横目にさっきのお茶を飲む。
と、そこで気づく。
「今日って何曜日だっけ・・・?」
「木。」
「木曜日って学校・・・」
「ある。」
平然としている鬼塚の表情を見て、ああまだきっと時間に余裕があるんだ。と思い時計に目をやるとなんと只今の時刻8時3分。
はい遅刻確定。
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