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鬼塚 side
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頼んでもないのに、
家に帰ったら作り置きされた飯が置いてある。
頼んでもないのに、風呂が沸かされ洗濯物はたたまれ、
朝にはまた、俺の分の飯が置かれてある。
それはただの親切なのか、見返りを求めたなにかなのか。
親切も愛情も期待も、そいつの全ては俺に向けられる。
親の金で買ったマンションには元々彼女と住んでた。
お互い学校なんて行かずに、朝から晩までずっとサカって。今住んでいるあいつは、出てった元カノの部屋に住んでる。
弱くて細っこい何の取り柄もない奴を、俺はどうして受け入れたのか。
真夜中、明け方、夜遊びしたあとの帰り時間は不定期で
それなのに玄関を開けると、まるで俺の帰りを待っていたかのような顔をして「おかえり」と言う。
目の下にくまを作って、本当に嬉しそうな顔で。
そういうとこが、最っ高にうざかった。
そういうとこが、鬱陶しくてたまらなかった。
......まぁ、ワーキャー喚く女よりはそこそこ楽だったけど。
毎日毎日飽きもせず晩飯作って弁当作って、お前のクソ不味い飯なんか食えるかよって断っても、苦しそうな笑顔を作っては「ごめんね」と呟いて。
何を言っても泣かない。
どんなに突き放しても、泣かなかった。
女なら泣くような事を何回もしてきたし言ってきたのに、取って貼り付けたような笑顔で返す。
俺があいつに、「嫌いだ」なんて嘘をつくまでは。
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