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公園
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夜、部屋で紙に向かってペンを走らせていると
ドアからノックが聞こえた。
軽く返事をすると、ドアが開き
そこには蒼士くんが立っていた。
「準備はできるいるか?」
「ちょっと待って。」
僕は、今までペンを走らせていた紙を
机の引き出したから出した封筒に入れ
ポケットに入れた。
「もう大丈夫。行こうか。」
「あぁ。」
僕は蒼士くんの後ろを少し離れて歩いた。
今は夜の9時頃。
誰か一人くらいいてもよさそうだが、
車庫に行く間誰ともすれ違わなかった。
高級車が10台ほど並ぶ車庫の中に
ひとつだけ、よく街で見かけるような軽自動車があった。
まあ、僕はそんな頻繁に外に出ないから
本当によく見かけるかはわからないが。
どうやらその軽自動車は蒼士くんが前から持っていたらしい。
蒼士くんに言われるがまま助手席に座る。
そういえば、車に乗るのは久しぶりな気がする。
月明かりが照らす、夜の道を
何も話さず静かに車は走っていく。
少し窓を開けると、外から冷たい風が入ってきて
心地よい。
30分ほどすると、目的の場所についた。
僕は蒼士くんに「待ってて」といい車を降りた。
今は夜だが、やはり夏なので暑い。
僕は車から少し離れた場所まで歩いた。
そこにあるのは、
僕と虎徹さんが出会った公園だ。
本当はマンションまで行きたかったが、
会ってしまったらもう、家には帰れないと思ったから
ここにした。きっと一緒にいたいと思ってしまう。
公園の中を歩くとベンチがあった。
あの日、ここで僕は泣いていた。
家から抜け出し、どうすればいいか分からず泣いていた。
なのに、結局はまた戻ってしまった。
なんとなく、足を抱えてベンチの上に座る。
空には綺麗な満月が浮かんでいた。
虎徹さんが、きてくれないかな、なんて
淡い期待を持ちじーっと座っていた。
5分くらいそのままでいた。
まあ、いるはずないか…。
僕はその場から離れようと思った、その時
「ねぇ、君大丈夫?」
聞き覚えのある声がした。
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